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【久米信行新刊】Q5-6:他人に誇れるものが何もない

投稿日時:2009/03/21(土) 07:55rss

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Q5-6:他人に誇れるものが何もない
A5-6:何にもなくとも立派に役割を果たせる


 「生まれつきの才能に恵まれていない」
 「どんなスキルも中途半端な感じがする」


 何かに秀でたスペシャリストを目にするたび、落ち込んでしまう人も多いでしょう。また同じ努力をしているのに先を行ってしまう同僚や後輩の背中を見て、思わずため息をついていることも多いのかもしれません。

 実のところ、私も特別な才能には恵まれていません。何かの専門スキルや特別な資格を持っているわけではありません。むしろ、私ごときが、経営者や大学講師をしていて良いのだろうか、講演や著述、さらには公益団体の役員や審査委員などを引き受けて構わないのだろうかと、いつもビクビクしていました。

 もちろん、今でも大丈夫だろうかと首をかしげることがあるのです。しかし、そんな不安に襲われた時には、多くの先輩から教わったメッセージを思い出します。

「人に誇れるものがない人は、ない人なりに大いに役割を果たせる」

 たしかに、こんな私でも心がけひとつでできることがあるのです。 
 
1.どんな人でも、大きないのちの調和の一部である

 仏教の教えの中に「山川草木ことごとく仏性あり」という言葉があるそうです。文字通り、山や川に、草や木に、即ち、あらゆるものに尊い性質があるという意味です。

 この言葉を引用して、「誰にでも仏性があるのだから、熱心に修行をしたり徳を積んだりして、自分を磨きなさい」と説く人も多いようです。

 しかしわが心の師、大雄山最乗寺の故 余語翠厳老師の解釈は違いました。

「修行などしなくとも、そのままで仏性がある。自然の中では、ちゃんと過不足なく調和が取れている。」
「ただ、修行をしてもらった方がお寺としてはありがたいから、そういうのだろう。」
 
 「花が尊くて、雑草が尊くないというのも人間の勝手な計らいに過ぎない。どんなものにも、天地いっぱいの命が現じている。時とともに形を変えながら、いつも調和が取れている。そう考えれば、安心して生きられる。」

 老師の言葉の数々は衝撃的で今も忘れられません。この大きな考えに触れてからは、「地位やスキルが高ければ偉い」「自分を磨くためにがんばらなくてはならない」いった凝り固まった考えが消えました。そして心が、ふっと軽くなり、肩の力が抜けました。すると、不思議な事に、「自分がその時々でできることを自然体でやろう」という新しい力が湧いてきたのです。


2.中途半端だからこそ危機意識が強く、新たな発想を求められる

 経営にせよ、IT活用にせよ、私は何かと「中途半端な力」しか持ち合わせていません。それがコンプレックスになっていたこともあります。しかし、今では「中途半端だからこそできること」を知っています。

 まずは、誰もが認めるようなスキルや資格を持っていないために、常に「強烈な危機意識」が常に働きます。普通の仕事の進め方では有能なスペシャリストに勝てないことを誰よりもよく知っているわけです。

 つまり、専門家では思い浮かばない突飛な発想をすること、異質なものとの組み合わせること、徹底的に相手を研究して対応することなどが求められるのです。また、一人では勝てないので、自分より優秀な人たちと一緒に仕事をすることを第一に考えます。

 例えば、直球のスピードだけでは勝てないピッチャーは、変化球をおぼえて、相手を研究した上で最適の投球術をしなければなりません。さらに、打たせて取るピッチングをするため、野手を信頼してチームプレーにも徹しなくてはならないのです。

 中途半端な自分だからこそ、人より敏感に危機を感じ取り、人よりも事前の研究を重ねることができます。その結果、人より斬新なアイディアに行き着いて、人より達人の力をうまく束ねることで、時には専門家も驚くような業績をあげることができるのです。
 

3、誇れるものがないからこそ自在に動けて接着剤になれる

 自分自身とその仕事や会社に誇りを持つことは大切なことです。誇りがあるからこそ、つらいことにも耐え、易きこと悪しきことにも手を染めずに「自分の道」を貫けるからです。

 しかし、せっかくの誇り高さも、一歩間違えば「頑固さ」や「わがままで人を寄せつけない働き方」に結びついてしまうことがあります。それでは、「個」の力を広く結集しながら問題を解決していく「ネットワーク時代」には対応できません。

 これから本当に必要な心構えは、むしろ「自分自身の誇り」より「長期的で社会的な大きな目標を達成しようとする誇り」なのです。そして、「自分たちの組織」に捕われずに、「その時その場に合った最もやる気と能力に満ちた人たち」を集める「柔らかい組織と働き方」のお膳立てをする能力こそが求められているのです。

 そこに集まる人は、誇れる専門能力に長けたスペシャリストかもしれません。しかし、その人たちに気持ちよく働いてもらうリーダーは、「スペシャリストでないがゆえに、誰よりも素直にスペシャリストに敬意を払える人」だと思うのです。

 「あの人はすごい。だから一緒に働きたい。存分に力を発揮して欲しい。」

 とかく、能力がある人ほど「自分が自分が、会社が会社が」と思いがちなものです。そんな中で「素直にスペシャリストの能力を評価できて、心からの拍手を送れる人」は、これもまた特別な能力を持ったスペシャリストでしょう。

***

 誇れるものがない人など、実は誰もいないのです。無理して目立つ事をしなくとも、「一隅を照らして」自分の与えられた仕事を「凡事徹底」することは、今まさに多くの人が「できそうでできないこと」なのです。そして、「自分より優秀な人たち」に慕われて「優秀な人たちだけではできないこと」を紡ぎだすのも、実は「誇れるものがない」ことをよく肝に銘じている人たちなのです。

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 ◎Q4-5:周りの反応がない
 ◎Q4-7:実力をつけてからデビューしたい
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 ◎Q5-3:「認められる自分」で居続けることに疲れる
 ◎Q5-4:誰も本当の自分をわかってくれない
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久米 信行 網縁作務処
国産オリジナルTシャツ@久米繊維
グリーン電力×オーガニックコットン×アート@T-galaxy.com
ブログ起業論講師@明治大学商学部  

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