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2009年03月21日(土)更新

【久米信行新刊】まえがき

10万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております!
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「選ばれる自分になる。
 生涯の師に出会う。認められる。」


 これは、私が講師を勤める明治大学商学部「ベンチャービジネス論」「起業プランニング論」のモットーです。毎回、全員で起立をしてあいさつをした後、このモットーを大きな声で唱和してから講義を始めるのです。

 今どき全員でモットーを唱和するなど、時代遅れだと思う方も多いでしょう。開講まもなく脱落する学生が多いのも「古くさい儀式」が一因かもしれません。

 それでも、私が、毎回「選ばれる自分になる」と、わざわざ声に出してもらうのには理由があります。

 将来、好きな会社に入ってやりたい仕事を始める時にも、好きな人と出会って理想の家庭を築く時にも、「選ばれる自分になる」ことが何より大切だからです。それなのに、「選ばれる自分」とは何かを真剣に考える機会もなければ、その方法を教わる機会も方法もないのです。

 さらに「生涯の師に出会い認められる」ことは、人生をステップアップさせる「最大のチャンス」であると同時に「人生最大の喜びのひとつ」でもあります。ところが、多くの人は「生涯の師に出会う」こともなければ、「認められる」喜びも味わうことなく、人生を漫然と過ごしてしまいます。
 
 インターネットなどで出会いや交流の機会が飛躍的に増えたのに、「選ばれないまま認められないまま」終わるのは、あまりにも「もったいない」ことです。

 だからこそ、講義のたびに声に出すことで、「選ばれる自分になること」「生涯の師に認められること」の大切さをしっかり胸に刻んでもらいます。1年間の講義のゴール=を毎回自覚してもらうことが大切なのです。

 実際には「選ばれる」ことも「認められる」ことも、多くの人が考えるほど難しいことではありません。現に、わずか1年足らずの講義と実践を通じて、「生涯の師に出会って認められた」学生は後を絶ちません。

 まるで別人のように変わった学生たちは、決して特別な才能に恵まれた人ばかりではありません。受講開始直後の学生たちの自己紹介を見れば、明るく積極的で行動的なタイプはむしろ少数派だと驚かれるはずです。

 言うなれば、「すぐやる技術」を真っ先に身につけて欲しい「考え過ぎて動けない人」であり、続いて「選ばれ認められる技術」で明日を切り拓いてほしい「控えめで自分を出せない人」がほとんどだったのです。

 この本で紹介する技術は、知識も経験も限られ、人前で話すのも苦手だった若者たちが、1年をかけて身につける「新しい習慣」の集大成です。講義でアドバイスしたことを中心にQ&A形式でわかりやすくまとめました。さらに、既に社会に旅立った卒業生にも「壁にぶつかって挫折しそうな時」に読んで欲しい新項目も付け加えました。

 難しいことは、おかげさまで大好評をいただいた前著「すぐやる技術」と同様、ほとんど書いてありません。むしろ、成功した人たちから見れば「当たり前すぎるほど当たり前のこと」も多いでしょう。

 しかし、30のレッスンで、気持ちを楽にして、ひとつずつ習慣にしていけば、きっと「選ばれる自分」「認められる自分」に近づいていけるはずです。

 そして、前著と同様に、多くの経営者やマネージャーにも読んでもらえたら嬉しいです。今どきの若い人たちの悩みを知り、上司の「選ぶ力」「認める力」を高めることで、きっと新しい大きな動きを巻き起こせるからです。

 それでは、さっそく「選ばれる自分」「認められる自分」に出会う旅にでかけましょう。

 2009年5月  
                            著者

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 ◆今春出版予定! 久米信行さん著書第二弾を当ブログで連載開始!!
 ◎Q1-1:自分の好みを出すのが恥ずかしい
 ◎Q1-2:自分が思っているよりも周りからの評価が低い
 ◎Q1-3:失敗して笑われるのが嫌だ
 ◎Q1-4:言いたいことを伝えるのが苦手だ
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 ◎Q2-1:「空気」を気にしすぎてしまう
 ◎Q2-2:保守的な人に足を引っ張られる
 ◎Q2-3:アピールの仕方がわからない
 ◎Q2-4:実績をアピールするのが嫌味に感じる
 ◎Q2-5:「調子に乗っている」と思われたくない
 ◎Q2-6:評価軸がわからない
 ◎Q3-1:自分に興味を持ってくれる気がしない
 ◎Q3-2:自分より優秀な人とどう付き合えばよいかわからない
 ◎Q3-3:自分が認めた人にだけ認められたい
 ◎Q3-4:うまくメールや手紙が書けない
 ◎Q3-5:相手の気持ちを動かせない
 ◎Q3-6:叱られると凹む
 ◎Q4-1:否定されるのが怖い
 ◎Q4-2:すでにその道で圧倒的な存在がいる
 ◎Q4-3:誰も自分のことを見てくれない
 ◎Q4-4:違う世代の人と話や興味が合わない
 ◎Q4-5:周りの反応がない
 ◎Q4-7:実力をつけてからデビューしたい
 ◎Q5-1:もともと前に出るような性格ではない
 ◎Q5-2:努力しても結果が出ない
 ◎Q5-3:「認められる自分」で居続けることに疲れる
 ◎Q5-4:誰も本当の自分をわかってくれない
 ◎Q5-5:人見知りだけど、仲良くなりたい
 ◎Q5-6:他人に誇れるものが何もない

2009年03月21日(土)更新

【久米信行新刊】Q5-6:他人に誇れるものが何もない

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Q5-6:他人に誇れるものが何もない
A5-6:何にもなくとも立派に役割を果たせる


 「生まれつきの才能に恵まれていない」
 「どんなスキルも中途半端な感じがする」


 何かに秀でたスペシャリストを目にするたび、落ち込んでしまう人も多いでしょう。また同じ努力をしているのに先を行ってしまう同僚や後輩の背中を見て、思わずため息をついていることも多いのかもしれません。

 実のところ、私も特別な才能には恵まれていません。何かの専門スキルや特別な資格を持っているわけではありません。むしろ、私ごときが、経営者や大学講師をしていて良いのだろうか、講演や著述、さらには公益団体の役員や審査委員などを引き受けて構わないのだろうかと、いつもビクビクしていました。

 もちろん、今でも大丈夫だろうかと首をかしげることがあるのです。しかし、そんな不安に襲われた時には、多くの先輩から教わったメッセージを思い出します。

「人に誇れるものがない人は、ない人なりに大いに役割を果たせる」

 たしかに、こんな私でも心がけひとつでできることがあるのです。 
 
1.どんな人でも、大きないのちの調和の一部である

 仏教の教えの中に「山川草木ことごとく仏性あり」という言葉があるそうです。文字通り、山や川に、草や木に、即ち、あらゆるものに尊い性質があるという意味です。

 この言葉を引用して、「誰にでも仏性があるのだから、熱心に修行をしたり徳を積んだりして、自分を磨きなさい」と説く人も多いようです。

 しかしわが心の師、大雄山最乗寺の故 余語翠厳老師の解釈は違いました。

「修行などしなくとも、そのままで仏性がある。自然の中では、ちゃんと過不足なく調和が取れている。」
「ただ、修行をしてもらった方がお寺としてはありがたいから、そういうのだろう。」
 
 「花が尊くて、雑草が尊くないというのも人間の勝手な計らいに過ぎない。どんなものにも、天地いっぱいの命が現じている。時とともに形を変えながら、いつも調和が取れている。そう考えれば、安心して生きられる。」

 老師の言葉の数々は衝撃的で今も忘れられません。この大きな考えに触れてからは、「地位やスキルが高ければ偉い」「自分を磨くためにがんばらなくてはならない」いった凝り固まった考えが消えました。そして心が、ふっと軽くなり、肩の力が抜けました。すると、不思議な事に、「自分がその時々でできることを自然体でやろう」という新しい力が湧いてきたのです。


2.中途半端だからこそ危機意識が強く、新たな発想を求められる

 経営にせよ、IT活用にせよ、私は何かと「中途半端な力」しか持ち合わせていません。それがコンプレックスになっていたこともあります。しかし、今では「中途半端だからこそできること」を知っています。

 まずは、誰もが認めるようなスキルや資格を持っていないために、常に「強烈な危機意識」が常に働きます。普通の仕事の進め方では有能なスペシャリストに勝てないことを誰よりもよく知っているわけです。

 つまり、専門家では思い浮かばない突飛な発想をすること、異質なものとの組み合わせること、徹底的に相手を研究して対応することなどが求められるのです。また、一人では勝てないので、自分より優秀な人たちと一緒に仕事をすることを第一に考えます。

 例えば、直球のスピードだけでは勝てないピッチャーは、変化球をおぼえて、相手を研究した上で最適の投球術をしなければなりません。さらに、打たせて取るピッチングをするため、野手を信頼してチームプレーにも徹しなくてはならないのです。

 中途半端な自分だからこそ、人より敏感に危機を感じ取り、人よりも事前の研究を重ねることができます。その結果、人より斬新なアイディアに行き着いて、人より達人の力をうまく束ねることで、時には専門家も驚くような業績をあげることができるのです。
 

3、誇れるものがないからこそ自在に動けて接着剤になれる

 自分自身とその仕事や会社に誇りを持つことは大切なことです。誇りがあるからこそ、つらいことにも耐え、易きこと悪しきことにも手を染めずに「自分の道」を貫けるからです。

 しかし、せっかくの誇り高さも、一歩間違えば「頑固さ」や「わがままで人を寄せつけない働き方」に結びついてしまうことがあります。それでは、「個」の力を広く結集しながら問題を解決していく「ネットワーク時代」には対応できません。

 これから本当に必要な心構えは、むしろ「自分自身の誇り」より「長期的で社会的な大きな目標を達成しようとする誇り」なのです。そして、「自分たちの組織」に捕われずに、「その時その場に合った最もやる気と能力に満ちた人たち」を集める「柔らかい組織と働き方」のお膳立てをする能力こそが求められているのです。

 そこに集まる人は、誇れる専門能力に長けたスペシャリストかもしれません。しかし、その人たちに気持ちよく働いてもらうリーダーは、「スペシャリストでないがゆえに、誰よりも素直にスペシャリストに敬意を払える人」だと思うのです。

 「あの人はすごい。だから一緒に働きたい。存分に力を発揮して欲しい。」

 とかく、能力がある人ほど「自分が自分が、会社が会社が」と思いがちなものです。そんな中で「素直にスペシャリストの能力を評価できて、心からの拍手を送れる人」は、これもまた特別な能力を持ったスペシャリストでしょう。

***

 誇れるものがない人など、実は誰もいないのです。無理して目立つ事をしなくとも、「一隅を照らして」自分の与えられた仕事を「凡事徹底」することは、今まさに多くの人が「できそうでできないこと」なのです。そして、「自分より優秀な人たち」に慕われて「優秀な人たちだけではできないこと」を紡ぎだすのも、実は「誇れるものがない」ことをよく肝に銘じている人たちなのです。

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久米 信行 網縁作務処
国産オリジナルTシャツ@久米繊維
グリーン電力×オーガニックコットン×アート@T-galaxy.com
ブログ起業論講師@明治大学商学部  
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