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2009年02月04日(水)更新

【久米信行新刊】Q2-1:「空気」を気にしすぎてしまう

10万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております!
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Q2-1:「空気」を気にしすぎてしまう
A2-1:3者の視点で空気を変える人が求められている


 「空気が読めないヤツ」


 今や、そう言われることを何より恐れている人が増えているように見えます。テレビのバラエティ番組などでお笑い芸人が「空気が読めない」と使う時、この言葉は「気が利かない」「面白い発言やリアクションができない」即ち「つまらなくて使えない人」と同義語だからです。

 しかし、同じ言葉でも、ビジネスの世界で使われる時には「意味がねじ曲げられている」ように思えます。
 
 「お得意様や上司が言う事には逆らうな」
 「せっかく多数決でまとまりそうな話をひっくりかえすな」
 「昔から決まっているルールに疑問を持つな」


 即ち、「長いものには巻かれろ」といった語意が感じられるのです。ともすれば、若い人財に「受け身で保身型の処世術」を強要するために悪用されているのではないでしょうか?
 もちろん、「TPO=時×場×目的をわきまえる」「そこに参加している人たちの心の動きを察する」という点で「空気を読む」ことは大切です。しかし、現状維持の方策では解決できない激動期には、あえて「空気を読んだ上」で「空気を変えること」が求められているのです。頭の固い上司には浮かばない斬新な発想こそ、トップが若い人財に望んでいるはずです。

 もしも、満場一致で決まりそうな会議、慣例や惰性で決まりそうな場面があったら、それはチャンスです。心と頭を柔らかくして、あえて3者の視点で「空気を変える」発言をしてみましょう。


1.お客様の視点で「空気を変える」


 ビジネスの世界で、王様はお客様です。しかし、気がつけばその基本を忘れて、作り手視点、売り手視点で「自社の都合の良い発想」をしてしまいがちです。

 そんな時、私は、この商品やサービスを「自分だったら買うだろうか?」「家族が喜ぶだろうか?」と発想します。一番、仲良しのお客様を思い浮かべてもいいでしょう。すると「これはおかしい」と思う場面に、きっと何度も出くわすはずです。

 今は、若い人たちがモノやコトを買わない=お金を使わない時代です。多くの企業が、若者向けのマーケティングに頭を悩ませています。だからこそ、「自分自身の心に聴いた」素直で率直な発言に、ハッとするリーダーが多いはずです。

 だからこそ自信を持って「自分がお客さまだったら」という生活者の視点で発言しましょう。


2.創業者の視点で「空気を変える」

 どんな会社も、創業者が立派で、起業の理念が社会に受け入れられたからこそ軌道に乗り、今も存続しているはずです。しかし、長い年月を経ると、創業者が志した理念は形骸化したり忘れ去られたりしていくものです。

 ですから、誰よりも創業者の歩みや発言をよく調べて、会社でも1、2を争うぐらいの「創業者通」になることをお勧めします。そして「自分が創業者だったらどう思うか?どんな手を打つか?」と、いつも発想するように鍛錬するのです。

 そうすると、時には「創業者ならこんな商品は作らない、こんなサービスは許さない」と思うような局面にぶつかるはずです。こうした状況を見過ごすことは簡単ですが、実は深刻なのです。長い目で見ると、長くご愛顧いただいたお客様が離れたり、社会を騒がす不祥事につながることも少なくありません。

 若輩ものが「空気を変える発言」をするには勇気が要ります。しかし、「もし創業者だったら....」と冒頭に付け加えて直言すれば、言葉の重みが違います。この言葉にドキッとしない、その意見に耳を傾けないリーダーはいないはずです。発言が「なるほど」と気づきを生むものなら、きっと、みなさんを見る目も変わるでしょう。


3.50年後100年後の子孫の視点で「空気を変える」

 企業の究極の目的は、規模の拡大や利潤の最大化ではありません。時代に合わせて変化し、進化を繰り返しながら、長期にわたって存続することです。しかし、長期的で社会的な行動をすべき上場企業ほど、株式市場に振り回されて、目先の利益や株価に心が奪われているように見えます。

 また、ただ企業が存続すればいいというわけでもありません。例えば、私が一番恐れているのは、今から50年後に私の孫やひ孫たちに「おじいちゃんの会社は続いたけれど、地球を汚したよね」「ひいおじいちゃんの会社は、地元に迷惑をかけたよね」と嘆かれることなのです。

 だからこそ、もし会議の場で、「今はいいけれど、将来に災いをもたらすような選択」それも「社会的に影響が大きい選択」を目にしたら会社の一大事です。すぐさま「50年後100年後に私たちの子孫が、どのように思うでしょうか?」と直言して欲しいのです。

 多くの人は、この厳しい経営環境で何を悠長なことを冷たい視線を浴びせるかもしれません。しかし、心ある経営者や上司なら、ハッとして耳を傾け、意見を認めてくれるはずです。

***

 この3つの視点は、いずれも日本で忘れられつつある「義」を重んじたものです。誰が何と言おうと批判を跳ね返し、自分の意志を貫くためには、いつの世も「義」が大切なのです。

【バックナンバー】
 ◆今春出版予定! 久米信行さん著書第二弾を当ブログで連載開始!!
 ◎Q1-1:自分の好みを出すのが恥ずかしい
 ◎Q1-2:自分が思っているよりも周りからの評価が低い
 ◎Q1-3:失敗して笑われるのが嫌だ
 ◎Q1-4:言いたいことを伝えるのが苦手だ
 ◎Q1-5:「柄にもない」と言われそうでイヤだ
 ◎Q2-1:「空気」を気にしすぎてしまう
 ◎Q2-2:保守的な人に足を引っ張られる
 ◎Q2-3:アピールの仕方がわからない
 ◎Q2-4:実績をアピールするのが嫌味に感じる
 ◎Q2-5:「調子に乗っている」と思われたくない
 ◎Q2-6:評価軸がわからない
 ◎Q3-1:自分に興味を持ってくれる気がしない

久米 信行 網縁作務処
国産オリジナルTシャツ@久米繊維
グリーン電力×オーガニックコットン×アート@T-galaxy.com
ブログ起業論講師@明治大学商学部   

2009年02月03日(火)更新

【久米信行新刊】Q1-5:「柄にもない」と言われそうでイヤだ

10万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております!
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Q1-5:「柄にもない」と言われそうでイヤだ
A1-5:日頃のイメージを裏切るほど印象に強く残る


 「柄にもない」「君らしくもない」


 せっかくやろうとしていたのに、誰かにそう言われた瞬間「心のブレーキ」がかかって、あきらめてしまった経験はありませんか?

 しかし、「柄にもない」と呼ばれるようなことこそ、現状をブレークスルーする決定打になることもあります。だから、今すぐ「心のアクセル」を踏むべきことかもしれません。それが成功するせよ失敗するにせよ、本来の自分を周囲に理解してもらい、まわりの見る目を変える好機になる可能性も高いのです。
1)ジョハリの窓と「人柄の死角」を知ろう

 考えてみれば、「柄にもない」などと「もっともらしいアドバイス」を直言する資格がある人などいないはずです。同僚や友人はもちろんのこと、両親など目上の親族や、会社の上司など先輩であっても、軽々しく助言はできないのです。

 なぜなら、みなさんの「本当の人柄」や「自分らしさ」、さらには「将来の可能性」や「潜在的な能力」を正しく見極めて人は、親しい身内の中にも、ほとんどいないからです。「自分のことを自分以上に理解してくれている」ような「師匠」しか、本来言ってはいけないセリフでしょう。

 「ジョハリの窓」と呼ばれる「自分を理解するためのマトリクス」をご存知でしょうか? 

 横軸に「自分が知っている自分」と「自分も知らない自分」、縦軸「周りの人が知っている自分」と「周りの人が知らない自分」を取ると、「2×2=4領域のマトリクス」ができあがります。

 「柄にもない」というのは、「周りの人が知っている(と思っている)自分」の領域で、騒ぎ立てられることです。いくら騒がれても、実際には「自分が知っている自分×周りの人が知らない自分=自分だけが知っている隠された自分」の領域は、いわば「死角」になっています。自分以外には見えていないわけです。


2)大きな危機や転機で「自分も知らない自分」が発動する

 また、「柄にもない」と思われることに挑戦することは、みなさんにとって、いつも以上にリスクの大きな体験になるでしょう。そこでは「想像を超えた困難」や「危機的状況」に見舞われることもあるはずです。また、「予想外の出会い」に恵まれて「人生の転機」になることもあるでしょう。

 そんな時、ジョハリの窓で言うならば「自分も周りの人も知らない未知の自分」が目覚めることも少なくありません。

 私も「柄にもない」挑戦をした結果、現状を突破できたブレークスルー体験を数多く味わうことができました。

 ゲームもゲーマーの子供たちも嫌いだった「文系の元ボーイスカウト」が、ゲームデザイナーの仕事に夢中になりました。大学では「中国の現代社会主義経済」を学ぶゼミの代表を務めたのに、証券会社ではファイナンシャルプランナーを養成する仕事に燃えました。

 そしてローテクのTシャツメーカー経営者でありながら、「柄にもなく」経営情報学会に誘われて、インターネットに挑戦しました。その結果、いつしかIT関係の連載や講演も増えて、明治大学「ブログ起業論」の講師も務めています。

 こうして、若い頃には想像だにしなかった方向に人生が展開していきました。そして、自分でも気づかなかった能力を磨くことになって驚いているのです。


3)柄にもないと言った人ほど変化に驚き、認めてくれる
 
 もちろん、私以上に驚いたのは、昔から私をよく知っている人たちでしょう。今、私が図らずもライフワークとしていることの多くは、私の身内や旧友にとって「柄にもないこと」「私らしくないこと」だからです。

 コンサルティング会社の内定を蹴って創業間もないベンチャーに就職する時も、証券会社に転職して新規事業に挑戦する時も、さらには、家業である構造不況業種の国産Tシャツメーカーを後継する時も、多くの人が忠告をしてくれました。私の「柄にもない」選択を心配してくれての心温まる「ありがたいアドバイス」でした。

 しかし、その時制止してくれた方々も、今では「私の挑戦」を認めて、大いに祝福してくださっています。むしろ「予想外の展開」だったからこそ、さらに喜んでくれているようにも思えます。

 例えば、証券会社への転職を大反対した父も、不幸にも「バブル崩壊を当事者として味わった実体験」が、「経営者としての最大の財産」のひとつと認めてくれているのです。

***

 ですから、「隠された自分」や「まだ見ぬ自分」が直観して、「心からやりたいと願っている」ことなら、誰が何と言おうと迷う必要はありません。その挑戦が、自分の能力を伸ばし、新たな縁を広げてくれる可能性が高いからです。その成否にかかわらず、周りが「君らしい」と思っているような「予定調和の展開」よりも、大いに注目されて後々認められる結果につながるでしょう。

【バックナンバー】
 ◆今春出版予定! 久米信行さん著書第二弾を当ブログで連載開始!!
 ◎Q1-1:自分の好みを出すのが恥ずかしい
 ◎Q1-2:自分が思っているよりも周りからの評価が低い
 ◎Q1-3:失敗して笑われるのが嫌だ
 ◎Q1-4:言いたいことを伝えるのが苦手だ
 ◎Q1-5:「柄にもない」と言われそうでイヤだ
 ◎Q2-1:「空気」を気にしすぎてしまう
 ◎Q2-2:保守的な人に足を引っ張られる
 ◎Q2-3:アピールの仕方がわからない
 ◎Q2-4:実績をアピールするのが嫌味に感じる
 ◎Q2-5:「調子に乗っている」と思われたくない
 ◎Q2-6:評価軸がわからない
 ◎Q3-1:自分に興味を持ってくれる気がしない


久米 信行 網縁作務処
国産オリジナルTシャツ@久米繊維
グリーン電力×オーガニックコットン×アート@T-galaxy.com
ブログ起業論講師@明治大学商学部  
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プロフィール

経営者会報ブログ事務局です。みなさまが快適なブログライフをお楽しみいただけるよう、一生懸命サポートさせていただきます

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