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2009年02月13日(金)更新

【久米信行新刊】Q2-6:評価軸がわからない

10万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております!
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Q2-6:評価軸がわからない
A2-6:目先の評価を気にせず「知情意+裏技」の底力をつける


 「こんなに頑張っているのに....」「なにをやれば良いかわからない」


 懸命に仕事をしているのに評価されないのは辛いことです。上司や同僚に恵まれていないと愚痴をこぼして、せっかくのやる気が失せてしまっている人もいるでしょう。

 また、反対に、能力主義の評価シート項目だけに心を奪われている人もいるかもしれません。しかし、目先の評価に一喜一憂するよりも、将来どんな仕事をする時にもきっと役立つ「人間力」をスケールアップした方が人生が豊かになるはずです。

 そこで、一度、評価シートや人事考課の世界を離れて、もっと根本的な人間力=「知情意」を磨くことを意識しましょう。さらに、仕事とは直接結びつかない「裏技」を磨くことで、将来の大きな評価につながるはずです。

1 知=業務知識×現場体験×自ら考える力


 業務知識については、多くの人が与えられた社内マニュアルや資格テキストを記憶するにとどまっているはずです。そこで、大きな書店に行って、関連の書籍を著者を変えて10冊買って熟読しましょう。これだけで、その部門で業務知識に一番詳しいグループに入れるはずです。

 とは言え、現場体験の裏付けなくしては、知識は無用の長物です。そこで、上司や先輩の一挙手一投足を見て吸収し、質問をしながら学びましょう。また業務知識の専門書で学んだことも、実際に現場で試して、有効かどうか実証したいものです。

 しかし、一番大切なのは、何と言っても自ら考える力です。専門書のエッセンスや、上司のノウハウを生かしながら、自分や組織に合った仕事の進め方や、環境や時流の波に乗った方法論を編み出すことが重要なのです。これは一朝一夕にはできないので、3年で形にして、10年で完成させる覚悟で進めましょう。


2.情=対人感受性×和顔愛語×おかげさまの心

 評価が低いと感じている時は、自分からの視点だけにしばられていることが多いはずです。逆に、上司や先輩が、自分の言動を前にした時に、どのように感じているかを意識してみてください。もう一人の自分が、相手の気持ちになって自分を見つめることができたら言うことはありません。

 そうなれば、自分がどんな仕草をしている時に、まわりの人たちが好感を持つかも自然にわかるはずです。和顔愛語の言葉通り、いつもにこやかな笑顔を浮かべて、心からの優しい言葉を発している時には、きっと自分の言動をそのまま受け入れてくれるでしょう。

 そして、まわりの人たちの気持ちや心配りに気づけるようになれば、そのありがたさが身にしみます。おかげさまで、自分も仕事ができている、生活を送ることができると感謝できるようになるでしょう。そうすれば、ますます受け入れ評価してもらえるようになるはずです。


3.意=すぐやる力×お役立ちの心×挑戦する意志

 前著「すぐやる!技術」で書いた通り、知情意の3つの力で、現代の日本人に一番欠けているのが意志の力です。だからこそ、行動に移せなかったり、行動がのろかったりします。そこで、まずはチームの中でも、一番はやく動く「すぐやる力」の高い人を目指しましょう。

 すぐやる対象は、もちろん、自分の役割やノルマに関わるものだけではありません。むしろ、チームのため、同僚のため、さらにはお取引先やお客様のために、見返りを求めずに「すぐやる」ことが大切です。そうするうちに、お役立ちのために動くことが自動化されて、無意識のうちに自分を忘れて行動できるようになるでしょう。

 こうして、自然にお役立ちの行動がすぐにできる習慣が身についたら、もっと大きなことに挑戦しましょう。このころには、知の力、情の力も磨かれて、上司や同僚の評価も高まり、有形無形の支援も受けられるようになっているはずです。だからこそ、みんながやりたくてもできないような長期的でスケール大きな夢に向かって一歩を踏み出しましょう。
 

4.裏技=探究する心×継続できる意志×応用できる哲学×幅広い人脈


 さらに、できるだけ仕事とは無縁で、オタクだと揶揄されるような打ち込める趣味や特技を磨きたいものです。

 それは、自分の興味があることを、ひたすら探求していく知的好奇心と集中力を育みます。しかも、楽しみながら長く継続できるしなやかでしたたかな意志も鍛えてくれるのです。

 さらに、1つの道を極めることは、独自の哲学を修めることにもつながります。そこで悟ったことは、仕事でつまづいた時や悩んだ時に応用することもできます。何より、道楽を通じて、仕事での利害関係の無い友人が増えることで、視野が広がって心の余裕も生まれるでしょう。

 こうして裏技で育まれた余力が、知情意の力と合わせて、将来の評価につながっていくのです。


【バックナンバー】
 ◆今春出版予定! 久米信行さん著書第二弾を当ブログで連載開始!!
 ◎Q1-1:自分の好みを出すのが恥ずかしい
 ◎Q1-2:自分が思っているよりも周りからの評価が低い
 ◎Q1-3:失敗して笑われるのが嫌だ
 ◎Q1-4:言いたいことを伝えるのが苦手だ
 ◎Q1-5:「柄にもない」と言われそうでイヤだ
 ◎Q2-1:「空気」を気にしすぎてしまう
 ◎Q2-2:保守的な人に足を引っ張られる
 ◎Q2-3:アピールの仕方がわからない
 ◎Q2-4:実績をアピールするのが嫌味に感じる
 ◎Q2-5:「調子に乗っている」と思われたくない
 ◎Q2-6:評価軸がわからない
 ◎Q3-1:自分に興味を持ってくれる気がしない

久米 信行 網縁作務処
国産オリジナルTシャツ@久米繊維
グリーン電力×オーガニックコットン×アート@T-galaxy.com
ブログ起業論講師@明治大学商学部  

2009年02月11日(水)更新

【久米信行新刊】Q2-5:「調子に乗っている」と思われたくない

10万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております!
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Q2-5:「調子に乗っている」と思われたくない
A2-5:努力の成果を気前よくシェアしていこう


 「ちょっとぐらい成果が出たからって....」「なにか勘違いしているんじゃないか」


 ビジネスの世界に限らず、日本の社会は「嫉妬社会」だと言われることが多いようです。誰かが、にわかに巨富を得たり、地位や名声を手にしたりすると、決まって「妬んだり」「憎んだり」する人が増えて、足を引っ張られるというわけです。

 また、マスメディアは「時の人」を持ち上げては、ある時容赦なくたたき落とす傾向がないとも言えません。しかも、影響力を増すネットメディアでは、ブログの炎上や2ちゃんねるでの誹謗中傷が待ち構えています。

 こんな嫉妬社会にあっては「目立って注目されるのは嫌だ」と思う人が増えてしまうのも無理はありません。そこで、「調子に乗る」というより「波に乗る」ことを目指した、実力に応じた「安全な目立ち方」を考えましょう。


1.努力の成果を独り占めしないで分かち合う

 何より大切なことは、自分が努力して手にした成果であっても、同僚など身近な人たちに積極的にシェアすることです。独り占めしようとする狭い心は、周囲の嫉妬を生む源泉だからです。例えば、自分が開拓した取引先でさえ、時には仲間と分かち合い、しかも恩に着せずに忘れてしまうとしたらどうでしょう。感謝されこそすれ、妬まれることは少ないはずです。


2.調子がよくなるコツを広く公開する

 さらに、自分が調子をつかんだ極意や、好調のもととなった手法なども、可能な限りオープンにしたいものです。私は、10年前からIT活用の講演を続けてきましたが「なぜここまで教えてしまうのか」とよく聞かれます。もちろん、競合会社に真似をされてしまうリスクもありましょう。しかし、それ以上に「情報公開でファンを増やして、嫉妬を浴びない」方が、長期的にはメリットが大きいと思うのです。


3.波に乗る人たちのコミュニティに参加する

 自分以上に調子に乗っている....「波」に乗っている人の近くで一緒に仕事をすることは、とても大切な経験です。楽しそうにバリバリ仕事をしている人の背中を見ることが、何よりも勉強になるからです。また、そんな人たちは、嫉妬もしなければ、周囲で高まる嫉妬も気にせず、ただ前に進みます。とりわけ、波に乗る人たちが集う異業種の勉強会に参加すれば、自分だけで抱えていた小さな悩みは吹き飛び、大きな勇気をもらえることでしょう。


4.公益活動にも積極的に参加する

 ビジネスで成果を挙げるようになったら、体と心のバランスを取るために、公益活動にも挑戦すると良いでしょう。企業や自分の利益のためだけに仕事をしていると、人から妬まれるばかりか、どこか空しさをおぼえるからです。私も企業経営に勤しみながら、縁あって日本財団、東京商工会議所などでのボランティア活動や、明治大学の兼任講師に汗を流しています。お金とは無縁の世界で仕事をすると清々しい気分になる上、周囲の人たちからも予想外の高い評価をいただけるのです。


5.名と実のどちらを取るかを考える 


 日本では「名=権勢」と「実=富」の両方とも手にすることは、なかなか許されません。これは、徳川幕府が、権力はあるが富はない譜代と、富を持つが権力の無い外様とのバランスで治世して以来という人さえいるのです。私の場合は、構造不況業種の中小メーカー経営者ということで、「名」も「富」も知れています。だからこそ、ある程度目立っても、今のところ許してくださる人が多いのかもしれません。しかし、公職に近いところを目指すならお金にきれいに、お金を稼ぎたいなら公職に欲をかかないことが大切です。


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2009年02月11日(水)更新

【久米信行新刊】Q2-4:実績をアピールするのが嫌味に感じる

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Q2-4:実績をアピールするのが嫌味に感じる
A2-4:過去を超える成果を生み出す動機にしよう


 「自分だけ目立つと嫌われそう」「成果を独り占めする上司みたいで嫌だ」


 総じて、日本のビジネスパーソンは「自分の業績をアピールするのが苦手」かもしれません。それは、子供の頃は学校で、成人してからは職場で、「出る杭は打たれる」という経験則が身にしみているからでしょうか。それとも、良い事をしても黙っている「陰徳の教え」を守っているからでしょうか。

 たしかに、「自分が」「自分が」と自己主張ばかりが強い人は「同僚や友人に嫌われやすい」でしょう。私もそんな人は苦手なのですが、社長や講師という立場上、自分自身もそうなりがちなので気を配っているのです。

 とは言え、そんな慎み深い日本の社会にあっても、スマートに自己PRをしていかなければステップアップにつながる出会いやチャンスにも恵まれません。そこで、私がいつも心がけている実績アピールの7か条をご案内いたしましょう。
1.おかげさまで一言添えて縁と運に感謝する

 成功を重ねている人ほど、謙虚なのは不思議なことです。おそらく、自分の努力の成果だけではなく、縁や運に恵まれたことのありがたさを痛感しているからでしょう。だからこそ「おかげさまで」という一言を、たびたび口にされるのです。そんな先輩を見習って、自分の実績について話す時にも、必ず「おかげさまで」の一言を添えましょう。


2.一緒に参加協力した人のことを紹介して褒める

 どんな実績であれ、自分ひとりの力だけで勝ち得ることなどないでしょう。チームワークやパートナーシップを無視して、独力で成功したと発言している人は「思い上がっている」ようで見苦しいものです。だからこそ、協力してくれた方々のことを積極的に紹介して心の底から褒めて感謝しましょう。


3.手痛い失敗の経験も隠さずに話す

 はた目から見れば、成功ばかりの輝かしいキャリアに見えても、その裏には何倍もの失敗が隠されているはずです。そんな泥臭くて恥ずかしい失敗談を「進んでオープンにする」ことが大切です。多くの人は、美化された成功の話よりも「つらい失敗談」に共感するはずです。そして真の人間味が伝わって親近感をおぼえてくれるでしょう。


4.成果よりもプロセスと学びについて話す

 成果だけをとうとうと聞かされても、ただの自慢にしか聞こえません。また、聞いている人にも「得るところが無い」でしょう。ですから「どんな工夫を積み重ねたか」「何が成功の要因だったか」という、プロセスや学びについて話に盛り込むことが大切です。相手にとっての情報価値が高まる上、ご自身の向学心、現場対応力、業務改革力などをさりげなくアピールできるでしょう。


5.詳しくはブログやwebなどに記して話さない


 どんな含蓄のある話でも、微に入り細に入り延々と話しては、相手も疲れます。むしろ「聞き足りない」「もっと聞きたいぐらい」がちょうどいいでしょう。そんな時に役立つのは、詳しい経歴や考え行動の変遷などを書きつづった個人ブログやWEBサイトです。お礼メールの中に「詳しくはこちらえご高覧ください」と、URLリンクで誘導すれば、興味のある方だけ読んでくれるはずです。


6.これから実現したい大きな夢について話す


 過去の成功ばかりを自慢気に話す人は嫌われます。それは、心が老いている証のようにも見えるからです。しかし、過去の実績についてはさらりと流して、これから実現したい夢も合わせて語れば印象が変わります。昔の成功体験にしばられずに、常に前を向いて挑戦している姿勢こそ、リーダー層の大きな共感を呼ぶはずです。


7.一緒に仕事をしたい人にだけ実績をアピールする


 自分の実績を、すべての人に積極的にアピールする必要はありません。また自慢かとあきれられたり、むやみに敵を増やしてしまうのがオチです。ほとんどの人には、聞かれたら「さりげなく話す」ぐらいでちょうどいいでしょう。逆に「この人からは学びたい、一緒に仕事したい」と感じる達人と出会ったら、その時こそチャンスです。真摯に自分の歩んだ道と夢について語りましょう。


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2009年02月07日(土)更新

【久米信行新刊】Q2-3:アピールの仕方がわからない

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Q2-3:アピールの仕方がわからない
A2-3:まずは笑顔のあいさつと質問から始めよう


 「誰も自分を見てくれない」「自分のことを話すきっかけがつかめない」


 昨今の会社には、昔のように面倒見の良い上司も、かわいげのある部下も少なくなったようです。仕事が終わってからの飲み食いや、休日のゴルフや釣りなどのつきあいも減っているはずです。

 そんな中では、自分を「見てもらえる」「認めてもらえる」ようなアピールの方法に頭を悩ませるのも無理はありません。

 しかし、オフィスでのつきあいが淡白になり、とりわけ若い人たちが先輩たちや同僚たちと積極的にコミュニケーションをしない今だからこそチャンスです。ちょっとした日常の簡単なアクションで、効果的にアピールすることができるからです。
1 まずは笑顔で元気なあいさつから

 多くの先輩世代は、若い人たちの表情が乏しく笑顔が少ないと思っています。また、話す時も目を合わせようとしないか、たまに合わせた時には挑戦的で反抗的な眼光で迫ってくると嘆いていそうです。

 もちろん、それは、会社の中で、それも先輩の前で笑わないだけかもしれません。あるいは、長い間の癖で、無意識のうちに笑わなくなっているのかもしれません。

 現に、私が明治大学で教えている学生たちも、開講当初はなんとも表情が堅くて、あいさつさえもぎこちないのです。

 しかし、毎週、講義の前後に大きな声であいさつをして、仲間の前でおそるおそる発表をしているうちに態度が変わってきます。元気な大人たち=特別講師の縁者と私=に、にこやかな笑顔で受け入れられると、次第に笑顔を浮かべられるようになるのです。一年も経たないうちに別人のように明るくなる学生も少なくありません。

 そんな若者たちのさわやかな笑顔とあいさつほど、心を動かされるものはありません。その瞬間に、人物の評価が半分以上決まってしまうとさえ思うのです。

 前著「すぐやる!技術」では、毎日10人の知らない人にあいさつをするトレーニングを勧めました。利害関係のない人たちに、自然な笑顔であいさつと会話ができるようになったら、次のステップに進みます。毎日オフィスで顔を合わせる人たちにも、元気な一言を投げかけてびっくりされることが大切なのです。


2.よく見て、よく聞いて、毎回質問をしよう。

 もう1つ、先輩世代が若者たちに抱きがちな不満は、自分の仕事ぶりをちゃんと見ているのか、話をしっかり聞いているのかわからない人が多いということです。

 マザーテレサは、愛情の反対は憎しみではなく無関心だと看破しました。誰しも、自分に関心を持ってくれない人に、関心を持ちたくはないでしょう。上司に対して心からの関心を抱かなければ、部下への愛情も湧いてくるはずがありません。

 ですから、上司と商談や会議に同行した時などは、自分をアピールする絶好のチャンスです。自分が特別な発言をすること以上に大切なことは、上司の一挙手一投足をよく見て、発言を一言も漏らさず聴いておくことです。そして、「おやっ」と思ったことなどは必ずメモをしておいてください。

 そうすれば、帰り道にメモを見ながら、こんな質問を上司に投げかけることもできるはずです。

「先程の商談で、あの順番で資料を出したのは、どうしてですか?」
「お客様の質問に、すぐ答えなかったのは、なぜですか?」


 その動作や発言に何か深い意味があればあるほど、上司は質問がうれしくなるはずです。その理由と合わせて、貴重な経験則などを懇切に教えてくれるでしょう。たまたま無意識にやっていたことを質問した場合にも、「よく見ていたな」と評価してくれるはずです。

 即ち、若いうちは、商談相手への目立ったスタンドプレーよりも、上司への質問の方が大切なのです。先輩の仕事ぶりへの深い関心と鋭い観察力、上司に真似ぶ=学ぶ向上心と飽くなき情熱をが示すことにもなるのです。それこそが、先輩世代の心に響く絶好のアピールとなるはずです。

 振り返れば、証券会社時代に営業の神様と尊敬していた上司との同行営業が、私にとって何よりの勉強になりました。どんなセールス話法の本よりも、その場その場の先輩の言動を見ている方が、気づきも学びも多かったのです。

 このように、上司に質問を繰り返し、優れた点を少しずつ真似して身につけていけば、いずれそれは上司や同僚の目に留まるようになります。さらには、社外の商談相手にもアピールして認められるようになるでしょう。


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2009年02月07日(土)更新

【久米信行新刊】Q2-2:保守的な人に足を引っ張られる

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Q2-2:保守的な人に足を引っ張られる
A2-2:反対者まで味方にする社内営業術を知る


 「どんなアイディアも難クセをつけられる」「社内営業で8割のエネルギーを使う」


 せっかく勇気を出して新しい提案をしたのに、なんと直属の上司や、味方だと思っていた社内の別部門に足止めをされてしまった。そんな苦い経験をお持ちの方も多いでしょう。

 私も、大手証券会社で新規事業を担当していた時に、社内営業の大変さを思い知りました。会社のために良かれと思って提案した企画が、予想外の反対を受けて暗礁に乗り上げてしまうのです。

 そんな中で、私が尊敬する上司から教わったのは、衝撃的な経験則でした。

 「大企業の部長ほど保守的な人はいない。それは、役員目前で原点となるミスをしたくないから。だから、自分が部長を務める間は新しいことをしようとしない。それが大企業を停滞させている。」

 しかし、愚痴をこぼしていても何も始まりません。私なりに、大企業での意思決定プロセスを学び、最後には、多くの当事者の理解を得て企画を通しやすくする「社内営業術」を身につけました。


1.まずは真のオピニオンリーダーとキーマンを知って根回し


 いくら、大企業とは言え、実際に新しい戦略を立案するオピニオンリーダーと、それを承認してリスクを負うキーマンは限られています。それは部長ではなく、次長や室長であることも少なくありません。

 いちはやく、多くの人から意見を聞いて、カギを握る人物が誰かを知ることが大切です。真っ先に、そして密かに相談して支援を取り付けなければなりません。オピニオンリーダーやキーマンが、会議で前向きな発言をしてくれれば、保守的な人もなびきやすくなるからです。


2.根回しする上司の好みの書式を知ってから書く

 企画書を根回ししている時に、その「内容」ではなく「書式」に文句をつけられてショックを受けた事がありました。「字が小さい」「フォントが嫌い」「罫線を太い方がいい」「四画の角を丸くして」といったことは「本題とは無縁の細かいこと」に思えて、キレそうにもなったこともありました。

 しかし、裏返して考えれば「お好みの書式」にするだけで「企画が通りやすくなる」のですから「お安い御用」なのかもしれません。現に、ある中央官庁の友人に聞いたところ、関連する大臣や議員の先生別に、お好みの書式を調べて関係者で共有していると聞きました。

 ですから、企画を認めてもらうための重要関係者のリストを作るなら、そこに「お好みのフォントと大きさ、罫線の種類と形」などを聞き出して一緒に記録しておきましょう。そして、企画書の体裁を、お好み通りに整えてから根回しをしましょう。


3.完璧な企画書よりも、明白な欠点が見えやすい企画書で根回し

 会議で何か企画書のアラを見つけて指摘するのを、自分の仕事だと考えている上司も多いものです。本番の会議の席で、そうして「存在意義を発揮」されては、まとまる話もまとまらなくなります。

 かといって、事前に根回しをする際に、アドバイスできないような完璧な企画書を持っていっても可愛げがなくて歓迎されないものです。そこで「あえて重要な点が欠落している」ような「未完成の企画書」をお見せして、むしろ積極的に教えを乞えるようにしました。

 もちろん「自分が気がつかない点」を助言してくだされば本当にありがたいことです。また「気づいていたのに書かなかった点」を指摘されても、、まさに「わが意を得たり」と歓迎すべきことなのです。


4.根回しの時点でリスクと面倒がないことを強調する


 多くの場合、根回しで一番問題となるのは、そのプロジェクトが「全社に長期的な利益をもたらすか」ではありません。保守的な人であればあるほど、他部門が提案する企画によって「自部門にどんなリスクと手間が発生する」かの方が気になるのです。

 ですから、他部門の保守的な部長や課長に提案する時には「リスクを回避できる妙案」や「余計な仕事が増えない方策」を考える必要があります。

 その上で、根回しの時に先回りをして「リスクと手間について説明する」ことで「心配を払拭」しておけば、会議はよりスムーズに進むでしょう。

 
5.本番のプレゼンでは、各部門キーマンのアドバイスを積極紹介

 いよいよ本番の会議で、企画についてプレゼンをする時には、あくまでも謙虚にいきたいものです。もちろん、企画書は「根回しの時にいただいたアドバイス」の数々を盛り込んで、完璧に仕上げておきます。

 そして、プレゼンの中で「○○の問題につきましては、□□部長のアドバイスをいただき、このように工夫いたしました。」と謝意を示しながら紹介します。そうすれば「自分だけの企画」が「みんなの企画」に昇華されて共感が得られやすくなるはずです。

 そして、ここぞというところで真のオピニオンリーダーの賛同を得て、最後にキーマンが承認をほのめかしてくれれば、保守的な人も賛成に回ってくれることでしょう。


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