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2009年03月01日(日)更新

【久米信行新刊】Q4-1:否定されるのが怖い

10万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております!
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Q4-1:否定されるのが怖い
A4-1:受け流し、跳ね返し、転じていく


 「何か言うと笑われそう」
 「みんなが白い目で見ている」


 奥ゆかしい日本人の多くは、無意識のうちに「集団に合わせようとするDNA」を持っているのかもしれません。ですから、必要とあらば「出る杭」になることを厭わない私でさえ、新しい集団に入った時には、ついつい人目を気にして緊張してしまうのです。

 もちろん、集団の調和を重んじること自体は、コミュニティを維持したりチームワークを円滑にしたりするのに必要な「美徳」のひとつかもしれません。しかし、集団優先の思考が過剰になって、全員が「ことなかれ志向」「思考停止」に陥ると、今度は組織全体が「変化への適応力」を失って危険な状態になります。

 私が証券会社の営業本部で体験した「バブル崩壊」の直前は、まさにこうした状況でした。誰もが浮かれて、株価上昇の「宴」が永遠に続くような共同幻想を抱いていました。もちろん、おかしいと思った人もいたのでしょうが、誰も言いださないままに暴落へと突き進んでいたのです。

 だからこそ、真のリーダーは、多くの同僚や関係者に否定されることを恐れず「勇気ある直言」をする人を常に探し求めています。そして、自分の側近になってほしいとさえ願っているはずです。

 とはいえ、組織の存亡をかけた「ここぞという時」こそ、誰もが聞く耳を持たない時でもあります。そんな時に、いきなり直言するのは難しいことです。

 ですから、常日頃から、小さな勇気を出して「白い目」を浴びても動じないレッスンをしておく必要があります。「受け流す」「跳ね返す」「転じる」という3つのステップで上達するレッスンを積んで、ここぞという時に備えておきましょう。

1.「受け流す」一定割合の批判を自然の摂理とわきまえて気にしない

 多くの先人が経験則で伝えるように、どんな意見に対しても、平均すれば「2割は賛成、2割は反対、6割はどちらでもない」という割合に落ち着くでしょう。先鋭的な意見であれば、賛成派が減ったり、意見表明が控えられるかもしれませんが、大きくはブレないものです。

 面白いことに、私が経験の浅い若手サラリーマンだった時も、現在の実績を積んだオーナー経営者になった今も、何かを新しいことを言いだした時の「白い目」の割合は、あまり変わらないということです。

 うまく行ったらうまく行ったで、もっと先を行く「過激な意見」を言うからかもしれません。また、実績を積んで成功したからこそ、これまでとは違う「嫉妬」を浴びてしまうこともあるでしょう。

 ですから「自分がダメ」だから白い目を浴びるのではなく「自然の摂理」とはそういうものだと納得すれば安心です。「いつでも一定割合は批判に回る」のだと心しておく必要があるのです。

 だとすれば、「白い目」を、いちいち気にしていても仕方がありません。特に2割の厳しい反対は「受け流す」ことで、2割の賛成意見に「素直に耳を傾ける」ことができるのです。

2.「跳ね返す」あえて変人であることを誇って定評にする

 批判を「軽く受け流す」ことができるようになったら、今度は「確信犯」として、人と違ったことを堂々とする「変人」を目指してみましょう。

 最初は、「変人」を目指すのは「大変な難行」に見えるかもしれません。周囲から、白い目ばかりか、ちょっとした抵抗にも合うでしょう。

 しかし、「変人」暦の長い私の経験では、日本はひそかに「確信犯の変人」に「寛容」な社会です。3ヶ月も変人を続けていると、「あの人は変人だから」と定評が広まって、やがて抵抗がなくなってくるのです。日本特有の集合無意識が、ひょっとしたらみなさんの「覚悟」を試している。そんな試用期間なのかもしれません。

 まずは小さなことから始めましょう。

 例えば、20年近く前に私は丸の内の証券会社の本社に自転車通勤を敢行していました。今では当たり前の自転車通勤ですが、当時は、盗まれないように車輪を1つもってオフィスに入る私を見る目は、変人を見るそれでした。

 また、オフィスビルでの内勤と地下でのランチでは日照時間と運動が足りないことに気づいて、デパートの地下でお惣菜を買って日比谷公園での「おひとり散歩ランチ」を楽しむ生活に切り替えました。もちろん「付き合いの悪いやつ」と白い目を集めましたが、そのおかげでリフレッシュできたため様々なアイディアが浮かびました。

 不思議なことに、3ヶ月ほどで、みんなも「変人ぶり」に慣れ、私自身も「変人と扱われること」に慣れました。そして無意識のうちに、これまでにない潜在的なパワーが私の底から湧きあがるのを感じました。「変人を貫く」ためには、仕事もそれ以上にこなさねばという「跳ね返す強さ」が生まれたからでしょう。

3.「転じる」批判した人ほど最後は応援してくれるありがたさを知る

 こうして「変人」と呼ばれることを厭わず、新しい試みをいくつも試して続けていくうちに、少しずつ流れが変わってくることを体験するはずです。また運良く成功に恵まれることもあるでしょう。

 ここで大切なのが「転じる」心得です。むしろ、当初は批判していた人こそ、積極的に仲間に迎え入れて、成功の果実を分かち合う大きな気持ちが大切なのです。

 もともと批判していた人たちも、みなさんのことが嫌いだったわけではなく、慣れ親しんだことを変えるのが嫌だっただけかもしれません。だとしたら、ひとたび方針が決まったら、誰よりもまじめに辛抱強く守り続けてくれる、応援してくれる=転じる可能性が高いのです。

 これは単なるポジティブ・シンキングではありません。ポジティブが良くて、ネガティブが悪いと考えるのは、「人間の狭いはからい」です。時間の経過と共に、陽転するものもあれば、陰転するものもあるのが「自然の姿」なのです。

 例えば、当初から応援してくれた賛成派の中に、過度に慢心をしたり手柄を自分のものにする人や、多くの人を仲間に巻き込む人のを嫌う人も出てくるものです。こうしたことを嘆いたり怒ったりすることなく、当初の賛成派が調和を乱す方向に「転じる」影響を小さくすることが大切です。ですから変化に先んじて、次の課題に一緒に挑戦するといった気配りをしましょう。

***

 こうして、新しいことが始まって形になっていくプロセスを一度でも経験すれば、人生観が変わります。その時に起こる「人の心の大きな変転」の経験則が見えれば、そこであえて「変人を演じる」自分の役割やその意味もわかるからです。

 一時の否定は、この大きな流れの中の、小さくて瞬間的なプロセスに過ぎません。それを恐れずに行動する人こそが、やがて大きな流れを作り出すのです。

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 ◎Q1-5:「柄にもない」と言われそうでイヤだ
 ◎Q2-1:「空気」を気にしすぎてしまう
 ◎Q2-2:保守的な人に足を引っ張られる
 ◎Q2-3:アピールの仕方がわからない
 ◎Q2-4:実績をアピールするのが嫌味に感じる
 ◎Q2-5:「調子に乗っている」と思われたくない
 ◎Q2-6:評価軸がわからない
 ◎Q3-1:自分に興味を持ってくれる気がしない
 ◎Q3-2:自分より優秀な人とどう付き合えばよいかわからない
 ◎Q3-3:自分が認めた人にだけ認められたい
 ◎Q3-4:うまくメールや手紙が書けない
 ◎Q3-5:相手の気持ちを動かせない
 ◎Q3-6:叱られると凹む

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2009年03月01日(日)更新

【久米信行新刊】Q3-6:叱られると凹む

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Q3-6:叱られると凹む
A3-6:叱られるのはありがたい。いつかご恩返しを。


 「いつも叱られてばかりでつらい」
 「どうせ自分なんかだめなんだ」


 私にも、なぜこんなに叱られなければならないのだろうと凹む時期がありました。そんな辛い職場や、厳しい上司にあたってしまったことを嘆いたこともありました。

 しかし、今は違います。叱ってくれることは大切な愛情表現の1つであり、とてもありがたいことだったのです。私のことを思えばこそ、あえて憎まれ役になってでも叱ってくれたのです。そんな義と勇気に富んだ先輩に恵まれたことに心から感謝をしています。

 年を重ねて、役職にもつくと、少しずつ叱ってくれる人がいなくなるのは、辛くて悲しいことなのです。

 ましてや、最近は真剣に叱ってくれる大人が減りつつあります。

 私が育った昔の下町では、たとえ見知らぬ子供であれ、あいさつをしなければ怒られ、銭湯ではしゃぎすぎては叱られました。同じ街に住む人は、みんなコミュニティの一員であり、そこにいる子供たちをみんなで躾けることが当たり前の義務であり、未来のため全体のためだと信じられていたからでしょう。

 昨今は、例えば、電車の中で無礼を働く人に注意すると逆ギレをされて危ないと「見て見ぬ振りをする人」が増えています。また学校でも職場でも、叱り方を間違えると、自宅に引きこもったり、パワハラや人権問題だと訴えられたりしそうです。その後輩のため、さらには未来の世の中のためにと強い覚悟と意志を持ち、半ば自分を捨てなければ叱るに叱れません。

 だからこそ、叱ってくれた時、叱ってくれた方には、感謝の気持ちで真剣に接しなくてはなりません。叱られる側の覚悟も大切なのです。

1.叱られた理由と、あるべき姿を理解して記録する

 叱られた時は、気分が高ぶったり凹んだりして、肝心の叱られた理由を冷静に考えられなくなっています。そこで、まずは心を鎮めて、叱られた理由とあるべき姿を聞き出して理解します。その上で、しっかり言葉や図表に書き留めて、心に刻むことが大切です。例えば「こんなことも知らんのか」と叱られたら「時事問題に詳しくない」ことが問題点で、「経営者並みに詳しくなる」ことがゴールなのです。

2.叱られなくなるためのTO DO LISTを用意する


 問題点とあるべき姿がわかったら、それを解決するためのTO DO LISTを作ります。「経営者なみに時事問題に詳しくなる」のがゴールなら、TO DO LISTは、「NHK BSの海外ニュースを毎日見る」「ビジネス書のベストセラーを毎週1冊読む」などになるでしょう。これを、手帳やスケジューラーに書き込んだり、ベッドやトイレに貼り出したりすることも大切です。

3.TO DO項目を自動化した習慣になるまで繰り返す

 TO DO LISTに書いたことは、しっかり繰り返して、毎週末に自分でチェックすることが大切です。その成果を、毎日ブログに書いても良いでしょう。とにかく、毎日繰り返し試みることで自然に体に覚え込ませることが大切です。意識しなくとも続けられるように習慣化すれば、同じ間違いで叱られることも減るでしょう。

4.続けられるようになったら叱ってくれた人に報告する

 まずは3ヶ月続いたら、叱ってくれた上司や先生に、報告してみましょう。「先日はお叱りいただいてありがとうございました。それ以来、毎日○○を自分に課して続けています。まだ成果は出ていませんが、これからも続けます。」こんな報告を受けたら叱った人も驚き、うれしくなるでしょう。まさに「叱り手冥利」について、ますますアドバイスをしてくださるようになるはずです。

5.習慣化できてから、自分流に取捨選択、改良する

 そして1年、3年と地道に努力を重ねて行けば、きっと効果があらわれて、叱ってくれた人も成長を認めてくれるはずです。その効果を見極めてから、自分らしいスタイルに改良すれば、まさに血肉になるでしょう。その頃は、新たに「叱られてわかった課題」もあるでしょうから、次のチャレンジを繰り返していきます。

6.いつか、部下や教え子たちに対しても叱れるようにする

 こうして、叱られたことを成長に結びつける体験を繰り返すうちに、そのありがたみも身にしみてきます。そして、いつかは自分が逆に叱る立場になって、部下や後輩に、そのご恩を返さなければならないことを知るでしょう。そして、後輩を叱った時の凹んだり怒ったりした表情を見れば、ますます師のありがたみを実感するでしょう。

7.最後は、誰に対しても叱るべき時に叱れるようになる


 部下や後輩を叱ったり励ましたりして成長させるお手伝いができるようになったら、最後のステップです。直接は深い関係のない、街で出会った人や、ふと隣に居合わせた人であっても、叱るべき時には叱れるように、ほめるべき時はほめられるようになりましょう。おせっかいの変人だと思われようがかまいません。そんな大人が一人でも増えていくことで、未来の大人が育っていくのです。


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久米 信行 網縁作務処
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2009年02月27日(金)更新

【久米信行新刊】Q3-5:相手の気持ちを動かせない

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Q3-5:相手の気持ちを動かせない
A3-5:自分から素直に動く。額と脳に汗をかく


 「何を話しても良い反応がない」
 「自分の力では感動させられない」


 知識も経験も豊富な目上の方々に感動してもらうのは、たしかに大変なことです。言葉だけのお世辞や小手先の技術などは、すぐ見破られてしまうからです。

 しかし、よく考えてみますと、あの手この手で「人生の先輩の気持ちを動かそう」とすること自体が「思い上がったこと」なのかもしれません。動くべきは「相手」ではなく「自分」であり、「心」を動かす前に「体」を動かすことが求められているのです。

 「素直になりなはれ」


 パナソニックの創業者 松下幸之助翁は、社員や松下政経塾の教え子たちに、そう繰り返したそうです。言い換えれば「上司に言われたことをすぐに実践する人」がいかに少ないかということでしょう。私も明治大学で教えて驚いたのは、言われた通りに「すぐやる」人が少ないことでした。

 また松下翁は「大忍」と書いた色紙を掲げて、成功のコツは成功するまで失敗を重ねることだと教えたとも聞きます。何回か失敗するだけで諦めてしまう人が、それだけ多いということでしょう。

 教えを受けても、ちゃんと理解する人は10人に1人かもしれません。それを実際に試してみる人は、理解した10人の中のまた1人でしょう。そして、試した後も成功するまで続ける人は、さらに10人に1人ということもありえます。教えを受けても、最後までゴールできる人は1000人に1人という低い確率になってしまいます。

 例えば、私のブログ起業論の意義を理解して、当初受講してくれる人は全学部を合わせても数十名しかいません。そして、ブログや発表を1年間続けて私の希望通りにゴールしてくれる生徒は数名といったところなのです。たった1年弱ガマンして続けるだけで、本人も驚くほど「見違える」のに残念でなりません。
 
 だとすれば、指導的な立場にあるリーダーたちが「どんな若者のどんな行動に心を動かされるか」は明らかでしょう。

1.言われたことは素直にやってみる

 目上の人から「やってみた方がいい」と進言されたら、自分の頭で考える前に「素直」に行動に移しましょう。さらに、面談中のさりげない発言や、著書などの記述の中で、これは「自分に役立つアドバイス」だと感じた一言は、ぜひ書き留めて、すぐにチャレンジしてみましょう。


2.やりだしたら成果が出るまで続ける

 行動に移した途端、すぐにうまくいくことなどほとんどありません。期待されていればいるほど、難しい課題を出されるはずなのです。だからこそ、3日3ヶ月3年の壁を乗り越える心意気で、じっとガマンしながら「額に汗して」続けていくこととが大切です。


3.報連相をしながらも独自の知恵を忘れずに


 うまくできてもできなくても、こまめに途中経過を報告することが大切です。その時、安易に泣き言をこぼしたり、助言を求めてはいけません。あくまでも、自分の頭で「なぜうまく進まないのか」考えぬくことが重要です。「脳に汗をかくこと」が求められているからです。


4.成果が出たら多くの人ができるよう伝える

 
 成果が上がったからといって、自分の手柄として自慢しているひまはありません。今度は、自分以外の多くの仲間も成果を得られるように、もういちど額と脳に汗して知恵を共有する必要があるからです。誰もができるようにわかりやすく伝えて、感謝される喜びを味わいましょう。


5.また新しいことに挑戦してみる

 1つの難題をクリアできたら、休まず「次のチャレンジ」を始めましょう。この時に、リーダーや心の師に、決意表明と報連相をすれば、きっと「心を動かしてくれる」に違いありません。自分の小さな助言を生かして、努力と工夫を重ねて見事に形にしたからです。それだけでなく、多くの人とノウハウと感動をも分かち合ったのです。そんな粘り強い行動派の若者たちに拍手を贈らないリーダーはいないのです。


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 ◎Q2-3:アピールの仕方がわからない
 ◎Q2-4:実績をアピールするのが嫌味に感じる
 ◎Q2-5:「調子に乗っている」と思われたくない
 ◎Q2-6:評価軸がわからない
 ◎Q3-1:自分に興味を持ってくれる気がしない
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 ◎Q3-3:自分が認めた人にだけ認められたい
 ◎Q3-4:うまくメールや手紙が書けない


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2009年02月27日(金)更新

【久米信行新刊】Q3-4:うまくメールや手紙が書けない

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Q3-4:うまくメールや手紙が書けない
A3-4:すばやく、短く、心をこめて「ありがとう」


 「どうやって書いていいかわからない」
 「かえって嫌われてしまうのではないか」


 大学の講義や社員研修で驚くのは、若い人たちの多くが「手紙をまともに書いたことがない」ことです。何でもメールやケータイで簡便に済ませる風潮の中では、無理もないことかもしれません。

 実は、私自身も社会人になるまでは、ほとんど手紙を書いたことがありませんでした。しかし、ありがたいことに、社会人生活のスタートを切ったイマジニア株式会社で、恩師 神蔵 孝之社長から、徹底的に「手紙道」を仕込まれたのです。神蔵社長は、松下政経塾の出身ということもあり、新人の私たちにお礼状の大切さを教えてくださいました。

 その後、eメールが、手紙、電話、FAXにとって変わって、連絡手段の主役に変わる社会になりました。しかし、拙著「メール道」で詳しく書きました様に、いかに無味乾燥なメールに血を通わせても限界はあります。むしろ、手紙の重要性はむしろ増しているのです。

 そこで、神蔵社長をはじめとしてお礼状達人の先輩から教わった手紙やメールの心得をご紹介しましょう。

1.素早く出すほど喜ばれる。時間が経つほど効果が薄れる

 お会いしたその日のうちにお礼状を出した時の効果が100だとしたら、翌日になると半分の50、その翌日にはまた半分の25と減っていく。だからお礼状は早く出すようにと、神蔵社長から仕込まれました。感動さめやらぬうちに出せば心がこもるでしょうし、受け取った方の印象も鮮やかなはずです。
 
2.大切な人宛て、特別な時は、筆文字で手書きの手紙で
 
 まったく同じ文面であっても、ワープロの手紙と手書きの手紙、それも筆文字の手紙とでは、大きく印象が大きく変わります。メールが全盛の時代だからこそ、ていねいに記された手紙の方が、しっかり心に残ります。ですから、ここぞという時には筆ペンを手にして熱い想いを手紙にしたためたいのです。

3.美しい便せん、絵はがき、記念切手で、おもてなし

 せっかくの手書きの手紙も、ありきたりの便せんや官製はがきで出しては興ざめです。大きな文具店やミュージアムショップなどで、美しい便せんや絵はがきを買い集めておきましょう。それから、珍しい柄や楽しいデザインの記念切手を買い求めて貼れば、特別な手紙として印象づけることができます。

4.いつでも最初は「ありがとう」最後は「ご高導ください」

 どんな内容の手紙であれ、ごあいさつの後は「ありがとう」で始まります。「いつもご指導ありがとうございます。」「先日は貴重なお話をありがとうございました。」このように「ありがとう」で始める手紙は、書く人も読む人も気持ちのよいものです。そして、私の手紙は、いつもこう結ばれます。「今後ともご高導の程よろしくお願いいたします。」

5.相手の魅力と感動したことを「具体的」に伝える

 感謝の言葉の後には、どこに感激したかを具体的に伝える一文を添えることが大切です。「○○という言葉に感激しました」「□□の教えを守ります」このように面談や著述の中で印象に残ったことを書き記してくれれば、喜びもひとしおです。それが、話し手が意図したことであれば、きちんと聴いてくれた証明になるからです。また、予想外のことであっても、それは話し手が気づかなかった魅力を発見してくれたことになるので喜ばれるでしょう。

6.一番伝えたい一言が明確ならば、短くても伝わる

 手紙もメールも、ただだらだら長い文面は禁物です。書けば書くほど、何が一番伝えたいことなのか不明瞭になることも少なくありません。ですから「お礼」なのか「面談希望」なのか、はたまた「売り込み」なのかメッセージを明確にすることが大切です。そして、伝えたいことは「しっかり一言で」伝えましょう。

7.メールマガジンは毎週出す「ラブレター」×「お礼状」

 きちんと、ていねいな筆書きのお礼状を出して、メールやブログのやりとりもできる関係が築けたら、次はご許可をいただいてメールマガジンをお出ししましょう。メールマガジンが優れているのは、一人に発信するのとほとんど同じ手間で、100人にでも1,000人にでも情報をお届けできることにあります。出そうと思えば、毎週でも、あるいは毎日でも近況報告を兼ねたラブレターを出すことができるのです。

***

 私も、これまで出会った1,200人強の縁者に、お礼状やお礼メールを書いて、その後でメールマガジンをお送りしてきました。長いおつきあいの縁者には、10年以上にもわたり、感謝を込めて送り続けてきたことになります。こうした手紙やメールがなかったら、縁者との交遊も広がらず深まらず、きっと私の人生はつまらないものになっていたでしょう。


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2009年02月24日(火)更新

【久米信行新刊】Q3-3:自分が認めた人にだけ認められたい

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Q3-3:自分が認めた人にだけ認められたい
A3-3:すぐには認めてくれない真の師を持とう


 「この人は認めてくれている」「あの人は自分の良さをわかっていない」


 誰でも、ほめられれば嬉しいですし、今すぐ認めてくれる人のことを好きになりがちです。

 また、私のささやかな経験からしても、多くの見知らぬ人にほめられるよりも、自分が師と仰ぐ人から認められる方が、はるかに嬉しいものです。どんな社会的な成功よりも、師の一言の方が、深い満足を与えてくれることも少なくありません。

 しかし、みなさんのことを「心から考えてくれる師」が、そう簡単にほめてくれるでしょうか? 

 ひょっとしたら、いつもほめてくれる上司も、単に簡便な部下操縦術として「認めたふり」をしているのかもしれません。あるいは、人に嫌われるのが嫌で、叱る事が苦手なのかもしれません。

 また、まだ人生を歩み始めたばかりの未熟な自分が「今認めている人」が、真の人生の師だと言えるでしょうか?

 ひょっとしたら「自分とよく似たタイプ」なのではありませんか?
 あるいは、一緒にいてもプレッシャーを感じないような「つきあいやすいタイプ」ではないですか?
 
 まさに、人生における重要な課題は「師の選び方」なのです。

 「師の選び方」次第で、人生の豊かさが左右されてしまうと言っても過言ではありません。

 私が、常に心がけて実践している「師匠選び」の原則は、次の七か条です。

1.ライフワークとして追究したいテーマの師匠を一人ずつ十人選ぶ

 仕事の業種や職種に関するテーマはもちろんのこと、趣味・生活・健康や、コミュニティ活動など、自分が関心を持つテーマの達人を師匠にすると、人生は深く豊かになります。各ジャンルの専門書を読みあさったり、キーワード検索で専門サイトを探して、師匠候補を絞り込みましょう。
 
2.その道のイノベーターにしてアウトサイダーを選ぶ

 専門書やサイトを読み込むうちに、その道のプロの中でも際立って独創的な第一人者が何人か見つかるはずです。ひょっとしたら、反主流派で浮いているアウトサイダーに見えるかもしれません。しかし、私がいつも惹かれるのは、そんな独立自尊のイノベーターなのです。

3.初めてお会いした時に強烈な第一印象を受ける人を選ぶ

 この人はという師匠の候補が見つかったら、必ず講演会や勉強会などに出かけて実際にお会いしましょう。そうすれば、本やWEBサイトだけではわからない人間的な魅力や活力を感じることができます。そして「この人についていきたいか」実感できるはずです。

4.別れた後、読み終わった後、その言葉が心に響き続ける人を選ぶ

 強烈な第一印象を受けた人であっても、お会いした後や本を読んだ後に、感激が薄れていく人と、ずっと心に残る人とに分かれます。さりげない一言であっても、記憶にしっかりと刻まれるような人なら師にふさわしいと言えましょう。

5.生涯にわたって尊敬できて目標にしたい人を選ぶ

 人を成長させ、人生を豊かにするための早道は、生涯にわたって目標となる師に出会うことです。人生のゴールを向けて「わが師のような人物になりたい」と思った時から、身も心も自然に動き出します。師を「真似ぶ=学ぶ」という新しい人生が始まるはずです。

6.生きている限り前進して変わり続けていく人を選ぶ

 人生の師には、自分が成長するスピードに以上に「進化と変化」を繰り返していくような、エネルギッシュな人がふさわしいのです。ようやく追いついたと思ったら、もっと先に行っている、また変わっているという師なればこそ「追いかけ甲斐」があるのです。

7.気さくでいばらず、若い人の意見にも耳を傾ける人を選ぶ


 偉大な人物ほど「謙虚でいばっていない」ことには、いつも驚かされます。そして、思い返せば、若かりしころの私の拙い意見でさえ真剣に聴いてくれたことに感動するのです。ですから、面談やメールの対応などが「ていねいで気さくな方」こそ師に選びましょう。

***

 年を重ねるにつれ、しみじみ思うのは、生涯の師に恵まれることほど幸せなことはないということです。そして、生涯にたとえ1度でも師から賞賛されることが、私の何よりの目標なのです。


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 ◎Q2-4:実績をアピールするのが嫌味に感じる
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