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2009年06月12日(金)更新

井寄奈美さん『小さな会社の「トクする」人の雇い方・給料の払い方』発売!

経営者会報ブログで「いよりん」としておなじみ、
井寄奈美さんの本『小さな会社の「トクする」人の雇い方・給料の払い方』が
4月18日に発売されました。


トクする


私は、編集を担当しました、日本実業出版社第一編集部の河合均と申します。
本書の内容について、さっそくご案内をさせていただきます。

なにわの女性社労士・いよりんは、
歯に衣着せぬ「本音トーク」で
小さな会社が抱える悩みをズバズバ解決し、
多くの経営者の方々の信頼を得ています。

今回の本でも、そんな「本音」が炸裂!
日々、人事労務の相談業務に駆け巡るなかで
経営者が抱える共通の悩みを選び出し、
しかも、忙しい方でも2時間程度で読んでいただけるよう、
本当にトクするポイントだけをザックリとまとめました。
本書誕生のウラ話をちょこっと。
本にとってタイトルは命ですが、
当初、この本の原題は、
『正しい人の雇い方・給料の払い方』でした。

「正しい」に込めた意味…。

人を雇うことに関する経営者の悩みは尽きません。
とくにこのご時世、「雇用不安」「不当労働」「契約違反」などが
大きなトラブル・事件に発展することもあり得ます。

そんななか、
経営者がスムーズに人を雇い、
従業員にいきいき働いてもらって給料を支払い、
会社の利益を上げる--。

そんな、当たり前とも思えるようなことが、
現在では「遠い理想の姿」のようになってしまっています。

そこで、従業員の「採用から雇用、労務管理から退職まで」
にまつわることについて
経営者にとっても、従業員にとっても
納得のいく「共通ライン」はどこなのか。
法をすり抜けるのではなく
法をきちんと理解することでメリットはないのか…。

それらを明らかにすることによって、
多くの悩みを抱える経営者に役立つ本を出したい!
というのが著者・いよりんの“思い”でした。

それが、「正しい」という言葉に込められていたのです。

最終的には、読者の方に広く受け止めていただけるよう、
「正しい」を「トクする」に変えましたが
実は、こんな「志」が本書のスタートラインになっています。



本書は、すでに経営者会報ブログ会員のみなさまをはじめ、
さまざまなな方々にご紹介いただいています。

=====
(お名前50音順にて掲載)

涯・石原社長
http://xgai.keikai.topblog.jp/blog/114/10014222.html

蒲郡製作所・伊藤社長
http://gamasei.keikai.topblog.jp/blog/10014223.html

小高莫大小工業・小高社長
http://next30.keikai.topblog.jp/blog/10014226.html

サワダ製作所・澤田社長
http://sawada.keikai.topblog.jp/blog/102/10014253.html

治部電機・治部社長
http://jibu.keikai.topblog.jp/blog/114/10014781.html

コクホー・庄山社長
http://kabankokuho.keikai.topblog.jp/blog/114/10014233.html

三元ラセン管工業・高嶋社長
http://mitsumoto-bellows.keikai.topblog.jp/blog/a/10014287.html

八戸ニューシティーホテル・谷口板長
http://newcity.keikai.topblog.jp/blog/105/10014282.html

サカエヤ・新保社長
http://sakaeya.keikai.topblog.jp/blog/114/10014333.html

レーザーテック・浜野社長
http://lasertech.keikai.topblog.jp/blog/103/10015010.html

枚岡合金工具・古芝社長
http://hiraoka.keikai.topblog.jp/blog/114/10014395.html

創・村上社長
http://hajime.keikai.topblog.jp/blog/100/10014278.html
=====

また、本の内容に対して寄せられたQ&Aについても、井寄さんのブログ上で公開されています。

=====
井寄さんのブログ・書籍の内容に対するQ&Aを集めたカテゴリ
http://iyori.keikai.topblog.jp/blog/c/index.html
=====

発売から1か月、すでにロングセラーになる兆しを見せていますが、
今後とも、ご支援のほどをよろしくお願いいたします。

2009年03月22日(日)更新

【久米信行新刊】あとがき

10万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております!
ぜひコメント、トラックバックをお寄せください。



 この本は「考えすぎて動けない人のための『すぐやる!技術』」の続編です。

 すぐやる技術が少しずつ習慣となり、人生が楽しく変わりつつある人たちに、特に読んでいただきたい本です。せっかく好転しつつある人生をさらに加速し、自分の進化を実感して、より確実なものにして欲しいからです。

 そのためには「生涯の師に出会い選ばれ認められる」ことが欠かせません。

 ありがたいことに、前著「すぐやる技術」は想像を超えるベストセラーになりました。全国で開催された、若者向け、さらには経営者向けの「すぐやる技術」セミナーには多くの人が参加してくださり、熱い感想を寄せてくださいました。

 そもそも現場で実体験を積み重ねることを重んじ、自己啓発本に懐疑的だった私は、この予想外の反応に驚きました。逆に、考え過ぎて動けない人、ごく当たり前の習慣を身につける機会がなかった人が、いかに多いのかを知りました。

 そこで、今一度、修羅場続きだった我がささやかな半生にヒントはないかと思い起こしてみました。特別な能力を持ち合わせていない私が、数々の苦難の乗り切り、気がつけば面白おかしく人生を送れているのは、なぜなのでしょうか?
 それは、もがき苦しむ中で、まさに生涯の師と呼ぶ数多くの先輩に出会って教えを受け、「縁」「運」「勘」に恵まれたからに他なりません。その時々に、様々な師匠から教えを受けるのがありがたく、一緒に仕事をするのがうれしくて仕方がありませんでした。滅多にないことですが、師と仰ぐ人に褒められれば、それこそ最高のごほうびであり、そのために頑張っている自分がありました。

 有名無名を問わず尊敬する師に認められることは、人生の大切なプロセスであり、ゴールそのものでもあると、今では実感しています。

 十人の生涯の師に恵まれれば、人生は豊かで実り多いものになると、私は教え子たちに繰り返しています。しかし、私が師と仰ぐ人たちは、今やその十倍以上にもなるのです。わが敬愛する師のみなさまが、この本をお読みいただければ、私に授けてくださった教えの数々を行間から見いだすことができるでしょう。非力な私をこれまで導いてくださったご恩は決して忘れることができません。

 ありがたい師の恩に報いるためにも、これからの半生は、師から教えられた「道」の一端を、後世を担う若者たちに伝えていきます。「認められる若人」だけではなく「認めてあげられる大人」を一人でも増やすのが使命だと心します。

 今、ここ雪の志賀高原一の瀬では、今年一番の強風が吹き荒れています。これは今の世界を取巻く環境にも似ているかもしれません。しかし、このホテルのロビーには、オーナー親子が高原をくまなくあるいて描いた四季おりおりの風景画が並んでいます。その中には厳しい冬の景色や見落としがちなアングルも多く、どんな逆境であれ日陰の植物であれ、見方を変えれば美しく見えることを教えてくれます。そして、やがては、新たな歓喜の春が、熱情の夏が、収穫の秋が訪れることを、それぞれが代えがたい美を秘めていることを思い出させてくれます。

 こんなご時世であっても、あなたの中にある真善美を見いだして認めてくれる人は「きっといるはず」です。それを信じて新しい一歩を踏み出しましょう。

 わが師への心からの感謝をこめて 
 みなさまの飛躍と輝かしい未来を信じて       
                            
                      シャレー志賀にて 久米 信行


【バックナンバー】
 ◆今春出版予定! 久米信行さん著書第二弾を当ブログで連載開始!!
 ◎まえがき
 ◎Q1-1:自分の好みを出すのが恥ずかしい
 ◎Q1-2:自分が思っているよりも周りからの評価が低い
 ◎Q1-3:失敗して笑われるのが嫌だ
 ◎Q1-4:言いたいことを伝えるのが苦手だ
 ◎Q1-5:「柄にもない」と言われそうでイヤだ
 ◎Q2-1:「空気」を気にしすぎてしまう
 ◎Q2-2:保守的な人に足を引っ張られる
 ◎Q2-3:アピールの仕方がわからない
 ◎Q2-4:実績をアピールするのが嫌味に感じる
 ◎Q2-5:「調子に乗っている」と思われたくない
 ◎Q2-6:評価軸がわからない
 ◎Q3-1:自分に興味を持ってくれる気がしない
 ◎Q3-2:自分より優秀な人とどう付き合えばよいかわからない
 ◎Q3-3:自分が認めた人にだけ認められたい
 ◎Q3-4:うまくメールや手紙が書けない
 ◎Q3-5:相手の気持ちを動かせない
 ◎Q3-6:叱られると凹む
 ◎Q4-1:否定されるのが怖い
 ◎Q4-2:すでにその道で圧倒的な存在がいる
 ◎Q4-3:誰も自分のことを見てくれない
 ◎Q4-4:違う世代の人と話や興味が合わない
 ◎Q4-5:周りの反応がない
 ◎Q4-7:実力をつけてからデビューしたい
 ◎Q5-1:もともと前に出るような性格ではない
 ◎Q5-2:努力しても結果が出ない
 ◎Q5-3:「認められる自分」で居続けることに疲れる
 ◎Q5-4:誰も本当の自分をわかってくれない
 ◎Q5-5:人見知りだけど、仲良くなりたい
 ◎Q5-6:他人に誇れるものが何もない

2009年03月21日(土)更新

【久米信行新刊】まえがき

10万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております!
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「選ばれる自分になる。
 生涯の師に出会う。認められる。」


 これは、私が講師を勤める明治大学商学部「ベンチャービジネス論」「起業プランニング論」のモットーです。毎回、全員で起立をしてあいさつをした後、このモットーを大きな声で唱和してから講義を始めるのです。

 今どき全員でモットーを唱和するなど、時代遅れだと思う方も多いでしょう。開講まもなく脱落する学生が多いのも「古くさい儀式」が一因かもしれません。

 それでも、私が、毎回「選ばれる自分になる」と、わざわざ声に出してもらうのには理由があります。

 将来、好きな会社に入ってやりたい仕事を始める時にも、好きな人と出会って理想の家庭を築く時にも、「選ばれる自分になる」ことが何より大切だからです。それなのに、「選ばれる自分」とは何かを真剣に考える機会もなければ、その方法を教わる機会も方法もないのです。

 さらに「生涯の師に出会い認められる」ことは、人生をステップアップさせる「最大のチャンス」であると同時に「人生最大の喜びのひとつ」でもあります。ところが、多くの人は「生涯の師に出会う」こともなければ、「認められる」喜びも味わうことなく、人生を漫然と過ごしてしまいます。
 
 インターネットなどで出会いや交流の機会が飛躍的に増えたのに、「選ばれないまま認められないまま」終わるのは、あまりにも「もったいない」ことです。

 だからこそ、講義のたびに声に出すことで、「選ばれる自分になること」「生涯の師に認められること」の大切さをしっかり胸に刻んでもらいます。1年間の講義のゴール=を毎回自覚してもらうことが大切なのです。

 実際には「選ばれる」ことも「認められる」ことも、多くの人が考えるほど難しいことではありません。現に、わずか1年足らずの講義と実践を通じて、「生涯の師に出会って認められた」学生は後を絶ちません。

 まるで別人のように変わった学生たちは、決して特別な才能に恵まれた人ばかりではありません。受講開始直後の学生たちの自己紹介を見れば、明るく積極的で行動的なタイプはむしろ少数派だと驚かれるはずです。

 言うなれば、「すぐやる技術」を真っ先に身につけて欲しい「考え過ぎて動けない人」であり、続いて「選ばれ認められる技術」で明日を切り拓いてほしい「控えめで自分を出せない人」がほとんどだったのです。

 この本で紹介する技術は、知識も経験も限られ、人前で話すのも苦手だった若者たちが、1年をかけて身につける「新しい習慣」の集大成です。講義でアドバイスしたことを中心にQ&A形式でわかりやすくまとめました。さらに、既に社会に旅立った卒業生にも「壁にぶつかって挫折しそうな時」に読んで欲しい新項目も付け加えました。

 難しいことは、おかげさまで大好評をいただいた前著「すぐやる技術」と同様、ほとんど書いてありません。むしろ、成功した人たちから見れば「当たり前すぎるほど当たり前のこと」も多いでしょう。

 しかし、30のレッスンで、気持ちを楽にして、ひとつずつ習慣にしていけば、きっと「選ばれる自分」「認められる自分」に近づいていけるはずです。

 そして、前著と同様に、多くの経営者やマネージャーにも読んでもらえたら嬉しいです。今どきの若い人たちの悩みを知り、上司の「選ぶ力」「認める力」を高めることで、きっと新しい大きな動きを巻き起こせるからです。

 それでは、さっそく「選ばれる自分」「認められる自分」に出会う旅にでかけましょう。

 2009年5月  
                            著者

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 ◎Q1-1:自分の好みを出すのが恥ずかしい
 ◎Q1-2:自分が思っているよりも周りからの評価が低い
 ◎Q1-3:失敗して笑われるのが嫌だ
 ◎Q1-4:言いたいことを伝えるのが苦手だ
 ◎Q1-5:「柄にもない」と言われそうでイヤだ
 ◎Q2-1:「空気」を気にしすぎてしまう
 ◎Q2-2:保守的な人に足を引っ張られる
 ◎Q2-3:アピールの仕方がわからない
 ◎Q2-4:実績をアピールするのが嫌味に感じる
 ◎Q2-5:「調子に乗っている」と思われたくない
 ◎Q2-6:評価軸がわからない
 ◎Q3-1:自分に興味を持ってくれる気がしない
 ◎Q3-2:自分より優秀な人とどう付き合えばよいかわからない
 ◎Q3-3:自分が認めた人にだけ認められたい
 ◎Q3-4:うまくメールや手紙が書けない
 ◎Q3-5:相手の気持ちを動かせない
 ◎Q3-6:叱られると凹む
 ◎Q4-1:否定されるのが怖い
 ◎Q4-2:すでにその道で圧倒的な存在がいる
 ◎Q4-3:誰も自分のことを見てくれない
 ◎Q4-4:違う世代の人と話や興味が合わない
 ◎Q4-5:周りの反応がない
 ◎Q4-7:実力をつけてからデビューしたい
 ◎Q5-1:もともと前に出るような性格ではない
 ◎Q5-2:努力しても結果が出ない
 ◎Q5-3:「認められる自分」で居続けることに疲れる
 ◎Q5-4:誰も本当の自分をわかってくれない
 ◎Q5-5:人見知りだけど、仲良くなりたい
 ◎Q5-6:他人に誇れるものが何もない

2009年03月21日(土)更新

【久米信行新刊】Q5-6:他人に誇れるものが何もない

10万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております!
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Q5-6:他人に誇れるものが何もない
A5-6:何にもなくとも立派に役割を果たせる


 「生まれつきの才能に恵まれていない」
 「どんなスキルも中途半端な感じがする」


 何かに秀でたスペシャリストを目にするたび、落ち込んでしまう人も多いでしょう。また同じ努力をしているのに先を行ってしまう同僚や後輩の背中を見て、思わずため息をついていることも多いのかもしれません。

 実のところ、私も特別な才能には恵まれていません。何かの専門スキルや特別な資格を持っているわけではありません。むしろ、私ごときが、経営者や大学講師をしていて良いのだろうか、講演や著述、さらには公益団体の役員や審査委員などを引き受けて構わないのだろうかと、いつもビクビクしていました。

 もちろん、今でも大丈夫だろうかと首をかしげることがあるのです。しかし、そんな不安に襲われた時には、多くの先輩から教わったメッセージを思い出します。

「人に誇れるものがない人は、ない人なりに大いに役割を果たせる」

 たしかに、こんな私でも心がけひとつでできることがあるのです。 
 
1.どんな人でも、大きないのちの調和の一部である

 仏教の教えの中に「山川草木ことごとく仏性あり」という言葉があるそうです。文字通り、山や川に、草や木に、即ち、あらゆるものに尊い性質があるという意味です。

 この言葉を引用して、「誰にでも仏性があるのだから、熱心に修行をしたり徳を積んだりして、自分を磨きなさい」と説く人も多いようです。

 しかしわが心の師、大雄山最乗寺の故 余語翠厳老師の解釈は違いました。

「修行などしなくとも、そのままで仏性がある。自然の中では、ちゃんと過不足なく調和が取れている。」
「ただ、修行をしてもらった方がお寺としてはありがたいから、そういうのだろう。」
 
 「花が尊くて、雑草が尊くないというのも人間の勝手な計らいに過ぎない。どんなものにも、天地いっぱいの命が現じている。時とともに形を変えながら、いつも調和が取れている。そう考えれば、安心して生きられる。」

 老師の言葉の数々は衝撃的で今も忘れられません。この大きな考えに触れてからは、「地位やスキルが高ければ偉い」「自分を磨くためにがんばらなくてはならない」いった凝り固まった考えが消えました。そして心が、ふっと軽くなり、肩の力が抜けました。すると、不思議な事に、「自分がその時々でできることを自然体でやろう」という新しい力が湧いてきたのです。


2.中途半端だからこそ危機意識が強く、新たな発想を求められる

 経営にせよ、IT活用にせよ、私は何かと「中途半端な力」しか持ち合わせていません。それがコンプレックスになっていたこともあります。しかし、今では「中途半端だからこそできること」を知っています。

 まずは、誰もが認めるようなスキルや資格を持っていないために、常に「強烈な危機意識」が常に働きます。普通の仕事の進め方では有能なスペシャリストに勝てないことを誰よりもよく知っているわけです。

 つまり、専門家では思い浮かばない突飛な発想をすること、異質なものとの組み合わせること、徹底的に相手を研究して対応することなどが求められるのです。また、一人では勝てないので、自分より優秀な人たちと一緒に仕事をすることを第一に考えます。

 例えば、直球のスピードだけでは勝てないピッチャーは、変化球をおぼえて、相手を研究した上で最適の投球術をしなければなりません。さらに、打たせて取るピッチングをするため、野手を信頼してチームプレーにも徹しなくてはならないのです。

 中途半端な自分だからこそ、人より敏感に危機を感じ取り、人よりも事前の研究を重ねることができます。その結果、人より斬新なアイディアに行き着いて、人より達人の力をうまく束ねることで、時には専門家も驚くような業績をあげることができるのです。
 

3、誇れるものがないからこそ自在に動けて接着剤になれる

 自分自身とその仕事や会社に誇りを持つことは大切なことです。誇りがあるからこそ、つらいことにも耐え、易きこと悪しきことにも手を染めずに「自分の道」を貫けるからです。

 しかし、せっかくの誇り高さも、一歩間違えば「頑固さ」や「わがままで人を寄せつけない働き方」に結びついてしまうことがあります。それでは、「個」の力を広く結集しながら問題を解決していく「ネットワーク時代」には対応できません。

 これから本当に必要な心構えは、むしろ「自分自身の誇り」より「長期的で社会的な大きな目標を達成しようとする誇り」なのです。そして、「自分たちの組織」に捕われずに、「その時その場に合った最もやる気と能力に満ちた人たち」を集める「柔らかい組織と働き方」のお膳立てをする能力こそが求められているのです。

 そこに集まる人は、誇れる専門能力に長けたスペシャリストかもしれません。しかし、その人たちに気持ちよく働いてもらうリーダーは、「スペシャリストでないがゆえに、誰よりも素直にスペシャリストに敬意を払える人」だと思うのです。

 「あの人はすごい。だから一緒に働きたい。存分に力を発揮して欲しい。」

 とかく、能力がある人ほど「自分が自分が、会社が会社が」と思いがちなものです。そんな中で「素直にスペシャリストの能力を評価できて、心からの拍手を送れる人」は、これもまた特別な能力を持ったスペシャリストでしょう。

***

 誇れるものがない人など、実は誰もいないのです。無理して目立つ事をしなくとも、「一隅を照らして」自分の与えられた仕事を「凡事徹底」することは、今まさに多くの人が「できそうでできないこと」なのです。そして、「自分より優秀な人たち」に慕われて「優秀な人たちだけではできないこと」を紡ぎだすのも、実は「誇れるものがない」ことをよく肝に銘じている人たちなのです。

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 ◎Q5-1:もともと前に出るような性格ではない
 ◎Q5-2:努力しても結果が出ない
 ◎Q5-3:「認められる自分」で居続けることに疲れる
 ◎Q5-4:誰も本当の自分をわかってくれない
 ◎Q5-5:人見知りだけど、仲良くなりたい

久米 信行 網縁作務処
国産オリジナルTシャツ@久米繊維
グリーン電力×オーガニックコットン×アート@T-galaxy.com
ブログ起業論講師@明治大学商学部  

2009年03月19日(木)更新

【久米信行新刊】Q5-5:人見知りだけど、仲良くなりたい

10万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております!
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Q5-5:人見知りだけど、仲良くなりたい
A5-5:一見元気な大人物ほど人見知りが多い


 「人前に出ると自分を出せない」
 「本当は仲良くなりたいのだけれど」


 色々言いたい事があっても、いざ、その人の前に行くと話せない。本当はもっと仲良くなりたいけれど、その場限りになってしまう。

 明治大学の教え子たちの多くは、そんな人見知りの若者たちです。しかし、不思議なことに1年間の講義と実習で、別人のように変わる生徒も少なくありません。

 それは、色々な現場体験あるいは修羅場体験の賜物なのですが、中でも、尊敬する経営者などに接して「一対一で向かい合う体験」を重ねて自信をつけたことが一番の原因でしょう。

 そして、学生たちは、人見知りも1つの才能であることに気づいたようです。
 
1.一見元気な大人物ほど人見知りで寂しがり

 大人物は、一見すると根っから明るい、いつでも元気な人をイメージしがちです。しかし、実際に接して見ると、人見知りでシャイな側面もお持ちになっていることに驚くことがあります。

 尊敬するイマジニア時代の師、神蔵孝之さんは、大人物から愛されるお人柄の持ち主でした。そして、私によく教えてくれたのは「偉大な人物ほど、さびしがり屋が多い」ということでした。それは社会人になったばかりの私にとっては大きな驚きでした。

 たしかに、大人物ほど、自分の周りにいる人はイエスマンかおべっか使いばかりが増えて、どうしても孤独になりがちです。近づく人は、自分の地位、権力、名前、お金などを利用しようとしている人ばかりに思えてきて、どうしても疑心暗鬼になるのです。

 また、苦労を重ねた自分が見えている世界と、多くの人が見ている世界のギャップにも悩まされるでしょう。それなのに、外から「きらびやかなイメージ」で彩られて、「内面を見つめてもらえなく」なっていきます。

 つまり、社会的に成功すればするほど、よほど留意しない限り、心から語り合える友人が少なくなってしまうのです。

 ですから、大人物であっても、自分と相似形の悩み=「人見知りで本当の友人が欲しいと思っている」ことを知ることが、まずは大切です。そうして、素直に弟子入りする敬意と、一対一の生身で向き合う覚悟があれば、年令や地位・役職を超えた友情が芽生えることも珍しくないのです。


2.人見知りだからこそ相手の気持ちに響ける

 さらに人見知りだと良いこともあります。一度、大きな病気に悩んだことがある人が、病気で苦しんでいる人に共感して優しくなれるのと同じように、人見知りをする人の気持ちが良くわかるのです。

 20世紀型の同質化された大量消費、ハード中心の高度成長社会では、明るく元気な人ばかりでも良かったかもしれません。しかし、これからの一人十色の多品種少量消費、ソフト中心の成熟社会では違います。

 人見知りの心の奥になる個性や独創性の中に、次代のヒントがあることも少なくないのです。大組織や同質社会では埋もれがちだった「静かな異質性」こそが、停滞した状況を動かす原動力になるのです。

 あえて、大声で話しているメンバーばかりの話の輪にいなかったからこそ、人見知りだったからこそ、見えるもの、会える人があります。あえて中心にいる目立った人ばかりでなく「ちょっと変わった人見知りの人たち」に真摯な関心を寄せてみてはいかがでしょう。


3.人見知りだからこそずっと仲良くなっていたい

 逆説的な言い方ではありますが、いつでも誰とでも友だちになれる人は、一生涯の友だちを作ろうという動機は小さいかもしれません。しかし、人見知りの人は、勇気を出して声をかけ、ようやく意気投合できた友人を、もっと大切にするはずです。

 実は人見知りが激しい私も、メールやブログの助けもあって、幸運にも友だちを超える縁者がたくさんできました。しかし、今は、友だちの数が多いことは決して幸せなことではないとも感じています。

 人生の時間も、自分の能力も限られている中では、緊密におつきあいできる友だちの数は限られているのです。それ以上、人数が多くても、かえって気遣いが増えたり、大切な親友に不義理をしたりして、悩みが増えてしまうからです。

 また、既に長く親しくおつきあいをして、これから生涯にもわたってつきあいたい親友との関係を振り返ると、ふと気づくことがあります。それは、決して、毎週のように会ってオモシロおかしく過ごしているわけではないのです。

 多くても月に1回、ひょっとしたら年に1回しか会わない人もいます。それでも、時々交わすメールやブログの力もあって、いざ会った時には、身近な人以上に親しみをおぼえます。そして、お互いの変化や進化を認めて喜び合った上で、大きな影響を与え合うこともできるのです。

***

 人見知りは、決して恥じることでも嘆くことでもありません。むしろ、大きな影響力を持つ人、これから持つであろう人たちと「コミュニケーションしやすい特殊能力」だとも言えるのです。そのありがたさにさえ気づけば、自分の中にある大きな力が動き始めるでしょう。

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