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2009年02月16日(月)更新

【久米信行新刊】Q3-1:自分に興味を持ってくれる気がしない

10万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております!
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Q3-1:自分に興味を持ってくれる気がしない
A3-1:まずは自分が何倍も興味を持って素直になろう


 「もっと自分を見てほしい」「内面までよく理解してほしい」


 こうした満たされない感情は、職場での人間関係に限らず、家族や友人との間柄でもつきまといます。しかも、先輩経営者との勉強会でさえ、たびたび話題に上るところを見ても、悩み続けなければならない永遠のテーマなのかもしれません。

 自分に興味を持っているもらうためには、特別な人間的な魅力や才能がなければならないと思い込んでいる人も多いでしょう。自分には、そんな資質がないと半ば諦めているかもしれません。

 しかし、私も部下や教え子を持つようになってわかったことがあります。それは、どんな後輩に興味を抱くかの決め手は、個人的な魅力や才能ばかりではないということです。

1.自分に関心を持ってくれる人ほどかわいい

 悲しいかな、身近な人ほど「すぐそばにいるありがたみ」を感じないのが世の常です。例えば、私のブログやメルマガでも、普段は会えない人の方がむしろ熱心に読んでくれるのは不思議です。毎日顔を会わせている人の方が読んでくれていないのは寂しいものなのです。

 ですから、自分に関心を抱いて欲しかったら、まずは「その何倍もの情熱」で、相手に関心を持つことが早道です。誰しも「自分に一番関心を持ってくれている」と感じた人のことは、意識しないわけにいかないからです。


2.熱心に話を聴いて質問してくれる人ほど可愛い


 関心を持ってくれた相手には、何かを話して伝えたくなるのが常です。しかし、真剣に聴いてくれると実感できる相手は、なかなかいないものです。むしろ、若い人より先輩世代の方が、真剣に目を合わせて聴いてくれるのは皮肉なことです。

 目の前でただ聞いている人よりも、メモをしてくれる人、パソコンに打ち込んでくれる人の方に好感を抱くのは当然でしょう。そして、質問をしてくれる人の方に興味を持つのも自然な流れです。


3.言われたことを素直にすぐやる人ほど可愛い


 しかし、いくら話を理解してくれても行動に移してくれなければ、期待が失望に変わって逆効果です。さらに、行動を促そうと助言した時に「もっともらしい言い訳が返ってきた」時ほど寂しく感じることはありません。

 失敗をおそれずに「やれば初めてわかる」ことがあるのです。仮に失敗をしても、やらなかった人よりやった人の方に、リーダーは関心を持つはずです。うまくやることよりも、素直にすぐやることの方が大切なのです。


4.粘り強く反復練習をずっと続ける人ほど可愛い


 多くの上司や先輩は、一回でうまく仕事を成し遂げることを期待していません。すぐに成功してしまうような仕事を任せても成長がないことをよく知っているからです。

 また、ひょっとしたら、失敗した後も「成功するまで粘り強く続けられる人かどうか」を見極めようとしているかもしれません。ですから、才気煥発な人より、不器用だからこそ努力を重ねる人の方が、むしろ可愛がられるかもしれません。


5.こまめに報告・連絡・相談を欠かさない人ほど可愛い


 任された仕事が、成功しようが失敗しようが、いつも隠さずにホウレンソウをする人はいそうでいないものです。おそらく、失敗を上司に知られると怒られそうだと考えるのでしょう。

 しかし、リーダーにとっては、失敗の情報こそ素早く報告して欲しいものなのです。そして、自分では対応できない難局こそ、真っ先に相談してもらいたいと考えているのです。

***

 こうして見れば、上司や先輩に関心を持ってもらうには、特別な魅力や能力よりも、心がけの方が大切なことがわかるでしょう。

 上司に関心を持って、よく見ること、聴くこと。言われたら、すぐに実行して、続けること。どんなに仕事を任されても、ホウレンソウを欠かさないこと。

 これなら、才能のいかんに関わらず、今すぐに始められるはずです。


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 ◆今春出版予定! 久米信行さん著書第二弾を当ブログで連載開始!!
 ◎Q1-1:自分の好みを出すのが恥ずかしい
 ◎Q1-2:自分が思っているよりも周りからの評価が低い
 ◎Q1-3:失敗して笑われるのが嫌だ
 ◎Q1-4:言いたいことを伝えるのが苦手だ
 ◎Q1-5:「柄にもない」と言われそうでイヤだ
 ◎Q2-1:「空気」を気にしすぎてしまう
 ◎Q2-2:保守的な人に足を引っ張られる
 ◎Q2-3:アピールの仕方がわからない
 ◎Q2-4:実績をアピールするのが嫌味に感じる
 ◎Q2-5:「調子に乗っている」と思われたくない
 ◎Q2-6:評価軸がわからない
 ◎Q3-1:自分に興味を持ってくれる気がしない


久米 信行 網縁作務処
国産オリジナルTシャツ@久米繊維
グリーン電力×オーガニックコットン×アート@T-galaxy.com
ブログ起業論講師@明治大学商学部  

2009年02月13日(金)更新

【久米信行新刊】Q2-6:評価軸がわからない

10万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております!
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Q2-6:評価軸がわからない
A2-6:目先の評価を気にせず「知情意+裏技」の底力をつける


 「こんなに頑張っているのに....」「なにをやれば良いかわからない」


 懸命に仕事をしているのに評価されないのは辛いことです。上司や同僚に恵まれていないと愚痴をこぼして、せっかくのやる気が失せてしまっている人もいるでしょう。

 また、反対に、能力主義の評価シート項目だけに心を奪われている人もいるかもしれません。しかし、目先の評価に一喜一憂するよりも、将来どんな仕事をする時にもきっと役立つ「人間力」をスケールアップした方が人生が豊かになるはずです。

 そこで、一度、評価シートや人事考課の世界を離れて、もっと根本的な人間力=「知情意」を磨くことを意識しましょう。さらに、仕事とは直接結びつかない「裏技」を磨くことで、将来の大きな評価につながるはずです。

1 知=業務知識×現場体験×自ら考える力


 業務知識については、多くの人が与えられた社内マニュアルや資格テキストを記憶するにとどまっているはずです。そこで、大きな書店に行って、関連の書籍を著者を変えて10冊買って熟読しましょう。これだけで、その部門で業務知識に一番詳しいグループに入れるはずです。

 とは言え、現場体験の裏付けなくしては、知識は無用の長物です。そこで、上司や先輩の一挙手一投足を見て吸収し、質問をしながら学びましょう。また業務知識の専門書で学んだことも、実際に現場で試して、有効かどうか実証したいものです。

 しかし、一番大切なのは、何と言っても自ら考える力です。専門書のエッセンスや、上司のノウハウを生かしながら、自分や組織に合った仕事の進め方や、環境や時流の波に乗った方法論を編み出すことが重要なのです。これは一朝一夕にはできないので、3年で形にして、10年で完成させる覚悟で進めましょう。


2.情=対人感受性×和顔愛語×おかげさまの心

 評価が低いと感じている時は、自分からの視点だけにしばられていることが多いはずです。逆に、上司や先輩が、自分の言動を前にした時に、どのように感じているかを意識してみてください。もう一人の自分が、相手の気持ちになって自分を見つめることができたら言うことはありません。

 そうなれば、自分がどんな仕草をしている時に、まわりの人たちが好感を持つかも自然にわかるはずです。和顔愛語の言葉通り、いつもにこやかな笑顔を浮かべて、心からの優しい言葉を発している時には、きっと自分の言動をそのまま受け入れてくれるでしょう。

 そして、まわりの人たちの気持ちや心配りに気づけるようになれば、そのありがたさが身にしみます。おかげさまで、自分も仕事ができている、生活を送ることができると感謝できるようになるでしょう。そうすれば、ますます受け入れ評価してもらえるようになるはずです。


3.意=すぐやる力×お役立ちの心×挑戦する意志

 前著「すぐやる!技術」で書いた通り、知情意の3つの力で、現代の日本人に一番欠けているのが意志の力です。だからこそ、行動に移せなかったり、行動がのろかったりします。そこで、まずはチームの中でも、一番はやく動く「すぐやる力」の高い人を目指しましょう。

 すぐやる対象は、もちろん、自分の役割やノルマに関わるものだけではありません。むしろ、チームのため、同僚のため、さらにはお取引先やお客様のために、見返りを求めずに「すぐやる」ことが大切です。そうするうちに、お役立ちのために動くことが自動化されて、無意識のうちに自分を忘れて行動できるようになるでしょう。

 こうして、自然にお役立ちの行動がすぐにできる習慣が身についたら、もっと大きなことに挑戦しましょう。このころには、知の力、情の力も磨かれて、上司や同僚の評価も高まり、有形無形の支援も受けられるようになっているはずです。だからこそ、みんながやりたくてもできないような長期的でスケール大きな夢に向かって一歩を踏み出しましょう。
 

4.裏技=探究する心×継続できる意志×応用できる哲学×幅広い人脈


 さらに、できるだけ仕事とは無縁で、オタクだと揶揄されるような打ち込める趣味や特技を磨きたいものです。

 それは、自分の興味があることを、ひたすら探求していく知的好奇心と集中力を育みます。しかも、楽しみながら長く継続できるしなやかでしたたかな意志も鍛えてくれるのです。

 さらに、1つの道を極めることは、独自の哲学を修めることにもつながります。そこで悟ったことは、仕事でつまづいた時や悩んだ時に応用することもできます。何より、道楽を通じて、仕事での利害関係の無い友人が増えることで、視野が広がって心の余裕も生まれるでしょう。

 こうして裏技で育まれた余力が、知情意の力と合わせて、将来の評価につながっていくのです。


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2009年02月11日(水)更新

【久米信行新刊】Q2-5:「調子に乗っている」と思われたくない

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Q2-5:「調子に乗っている」と思われたくない
A2-5:努力の成果を気前よくシェアしていこう


 「ちょっとぐらい成果が出たからって....」「なにか勘違いしているんじゃないか」


 ビジネスの世界に限らず、日本の社会は「嫉妬社会」だと言われることが多いようです。誰かが、にわかに巨富を得たり、地位や名声を手にしたりすると、決まって「妬んだり」「憎んだり」する人が増えて、足を引っ張られるというわけです。

 また、マスメディアは「時の人」を持ち上げては、ある時容赦なくたたき落とす傾向がないとも言えません。しかも、影響力を増すネットメディアでは、ブログの炎上や2ちゃんねるでの誹謗中傷が待ち構えています。

 こんな嫉妬社会にあっては「目立って注目されるのは嫌だ」と思う人が増えてしまうのも無理はありません。そこで、「調子に乗る」というより「波に乗る」ことを目指した、実力に応じた「安全な目立ち方」を考えましょう。


1.努力の成果を独り占めしないで分かち合う

 何より大切なことは、自分が努力して手にした成果であっても、同僚など身近な人たちに積極的にシェアすることです。独り占めしようとする狭い心は、周囲の嫉妬を生む源泉だからです。例えば、自分が開拓した取引先でさえ、時には仲間と分かち合い、しかも恩に着せずに忘れてしまうとしたらどうでしょう。感謝されこそすれ、妬まれることは少ないはずです。


2.調子がよくなるコツを広く公開する

 さらに、自分が調子をつかんだ極意や、好調のもととなった手法なども、可能な限りオープンにしたいものです。私は、10年前からIT活用の講演を続けてきましたが「なぜここまで教えてしまうのか」とよく聞かれます。もちろん、競合会社に真似をされてしまうリスクもありましょう。しかし、それ以上に「情報公開でファンを増やして、嫉妬を浴びない」方が、長期的にはメリットが大きいと思うのです。


3.波に乗る人たちのコミュニティに参加する

 自分以上に調子に乗っている....「波」に乗っている人の近くで一緒に仕事をすることは、とても大切な経験です。楽しそうにバリバリ仕事をしている人の背中を見ることが、何よりも勉強になるからです。また、そんな人たちは、嫉妬もしなければ、周囲で高まる嫉妬も気にせず、ただ前に進みます。とりわけ、波に乗る人たちが集う異業種の勉強会に参加すれば、自分だけで抱えていた小さな悩みは吹き飛び、大きな勇気をもらえることでしょう。


4.公益活動にも積極的に参加する

 ビジネスで成果を挙げるようになったら、体と心のバランスを取るために、公益活動にも挑戦すると良いでしょう。企業や自分の利益のためだけに仕事をしていると、人から妬まれるばかりか、どこか空しさをおぼえるからです。私も企業経営に勤しみながら、縁あって日本財団、東京商工会議所などでのボランティア活動や、明治大学の兼任講師に汗を流しています。お金とは無縁の世界で仕事をすると清々しい気分になる上、周囲の人たちからも予想外の高い評価をいただけるのです。


5.名と実のどちらを取るかを考える 


 日本では「名=権勢」と「実=富」の両方とも手にすることは、なかなか許されません。これは、徳川幕府が、権力はあるが富はない譜代と、富を持つが権力の無い外様とのバランスで治世して以来という人さえいるのです。私の場合は、構造不況業種の中小メーカー経営者ということで、「名」も「富」も知れています。だからこそ、ある程度目立っても、今のところ許してくださる人が多いのかもしれません。しかし、公職に近いところを目指すならお金にきれいに、お金を稼ぎたいなら公職に欲をかかないことが大切です。


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2009年02月11日(水)更新

【久米信行新刊】Q2-4:実績をアピールするのが嫌味に感じる

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Q2-4:実績をアピールするのが嫌味に感じる
A2-4:過去を超える成果を生み出す動機にしよう


 「自分だけ目立つと嫌われそう」「成果を独り占めする上司みたいで嫌だ」


 総じて、日本のビジネスパーソンは「自分の業績をアピールするのが苦手」かもしれません。それは、子供の頃は学校で、成人してからは職場で、「出る杭は打たれる」という経験則が身にしみているからでしょうか。それとも、良い事をしても黙っている「陰徳の教え」を守っているからでしょうか。

 たしかに、「自分が」「自分が」と自己主張ばかりが強い人は「同僚や友人に嫌われやすい」でしょう。私もそんな人は苦手なのですが、社長や講師という立場上、自分自身もそうなりがちなので気を配っているのです。

 とは言え、そんな慎み深い日本の社会にあっても、スマートに自己PRをしていかなければステップアップにつながる出会いやチャンスにも恵まれません。そこで、私がいつも心がけている実績アピールの7か条をご案内いたしましょう。
1.おかげさまで一言添えて縁と運に感謝する

 成功を重ねている人ほど、謙虚なのは不思議なことです。おそらく、自分の努力の成果だけではなく、縁や運に恵まれたことのありがたさを痛感しているからでしょう。だからこそ「おかげさまで」という一言を、たびたび口にされるのです。そんな先輩を見習って、自分の実績について話す時にも、必ず「おかげさまで」の一言を添えましょう。


2.一緒に参加協力した人のことを紹介して褒める

 どんな実績であれ、自分ひとりの力だけで勝ち得ることなどないでしょう。チームワークやパートナーシップを無視して、独力で成功したと発言している人は「思い上がっている」ようで見苦しいものです。だからこそ、協力してくれた方々のことを積極的に紹介して心の底から褒めて感謝しましょう。


3.手痛い失敗の経験も隠さずに話す

 はた目から見れば、成功ばかりの輝かしいキャリアに見えても、その裏には何倍もの失敗が隠されているはずです。そんな泥臭くて恥ずかしい失敗談を「進んでオープンにする」ことが大切です。多くの人は、美化された成功の話よりも「つらい失敗談」に共感するはずです。そして真の人間味が伝わって親近感をおぼえてくれるでしょう。


4.成果よりもプロセスと学びについて話す

 成果だけをとうとうと聞かされても、ただの自慢にしか聞こえません。また、聞いている人にも「得るところが無い」でしょう。ですから「どんな工夫を積み重ねたか」「何が成功の要因だったか」という、プロセスや学びについて話に盛り込むことが大切です。相手にとっての情報価値が高まる上、ご自身の向学心、現場対応力、業務改革力などをさりげなくアピールできるでしょう。


5.詳しくはブログやwebなどに記して話さない


 どんな含蓄のある話でも、微に入り細に入り延々と話しては、相手も疲れます。むしろ「聞き足りない」「もっと聞きたいぐらい」がちょうどいいでしょう。そんな時に役立つのは、詳しい経歴や考え行動の変遷などを書きつづった個人ブログやWEBサイトです。お礼メールの中に「詳しくはこちらえご高覧ください」と、URLリンクで誘導すれば、興味のある方だけ読んでくれるはずです。


6.これから実現したい大きな夢について話す


 過去の成功ばかりを自慢気に話す人は嫌われます。それは、心が老いている証のようにも見えるからです。しかし、過去の実績についてはさらりと流して、これから実現したい夢も合わせて語れば印象が変わります。昔の成功体験にしばられずに、常に前を向いて挑戦している姿勢こそ、リーダー層の大きな共感を呼ぶはずです。


7.一緒に仕事をしたい人にだけ実績をアピールする


 自分の実績を、すべての人に積極的にアピールする必要はありません。また自慢かとあきれられたり、むやみに敵を増やしてしまうのがオチです。ほとんどの人には、聞かれたら「さりげなく話す」ぐらいでちょうどいいでしょう。逆に「この人からは学びたい、一緒に仕事したい」と感じる達人と出会ったら、その時こそチャンスです。真摯に自分の歩んだ道と夢について語りましょう。


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2009年02月07日(土)更新

【久米信行新刊】Q2-3:アピールの仕方がわからない

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Q2-3:アピールの仕方がわからない
A2-3:まずは笑顔のあいさつと質問から始めよう


 「誰も自分を見てくれない」「自分のことを話すきっかけがつかめない」


 昨今の会社には、昔のように面倒見の良い上司も、かわいげのある部下も少なくなったようです。仕事が終わってからの飲み食いや、休日のゴルフや釣りなどのつきあいも減っているはずです。

 そんな中では、自分を「見てもらえる」「認めてもらえる」ようなアピールの方法に頭を悩ませるのも無理はありません。

 しかし、オフィスでのつきあいが淡白になり、とりわけ若い人たちが先輩たちや同僚たちと積極的にコミュニケーションをしない今だからこそチャンスです。ちょっとした日常の簡単なアクションで、効果的にアピールすることができるからです。
1 まずは笑顔で元気なあいさつから

 多くの先輩世代は、若い人たちの表情が乏しく笑顔が少ないと思っています。また、話す時も目を合わせようとしないか、たまに合わせた時には挑戦的で反抗的な眼光で迫ってくると嘆いていそうです。

 もちろん、それは、会社の中で、それも先輩の前で笑わないだけかもしれません。あるいは、長い間の癖で、無意識のうちに笑わなくなっているのかもしれません。

 現に、私が明治大学で教えている学生たちも、開講当初はなんとも表情が堅くて、あいさつさえもぎこちないのです。

 しかし、毎週、講義の前後に大きな声であいさつをして、仲間の前でおそるおそる発表をしているうちに態度が変わってきます。元気な大人たち=特別講師の縁者と私=に、にこやかな笑顔で受け入れられると、次第に笑顔を浮かべられるようになるのです。一年も経たないうちに別人のように明るくなる学生も少なくありません。

 そんな若者たちのさわやかな笑顔とあいさつほど、心を動かされるものはありません。その瞬間に、人物の評価が半分以上決まってしまうとさえ思うのです。

 前著「すぐやる!技術」では、毎日10人の知らない人にあいさつをするトレーニングを勧めました。利害関係のない人たちに、自然な笑顔であいさつと会話ができるようになったら、次のステップに進みます。毎日オフィスで顔を合わせる人たちにも、元気な一言を投げかけてびっくりされることが大切なのです。


2.よく見て、よく聞いて、毎回質問をしよう。

 もう1つ、先輩世代が若者たちに抱きがちな不満は、自分の仕事ぶりをちゃんと見ているのか、話をしっかり聞いているのかわからない人が多いということです。

 マザーテレサは、愛情の反対は憎しみではなく無関心だと看破しました。誰しも、自分に関心を持ってくれない人に、関心を持ちたくはないでしょう。上司に対して心からの関心を抱かなければ、部下への愛情も湧いてくるはずがありません。

 ですから、上司と商談や会議に同行した時などは、自分をアピールする絶好のチャンスです。自分が特別な発言をすること以上に大切なことは、上司の一挙手一投足をよく見て、発言を一言も漏らさず聴いておくことです。そして、「おやっ」と思ったことなどは必ずメモをしておいてください。

 そうすれば、帰り道にメモを見ながら、こんな質問を上司に投げかけることもできるはずです。

「先程の商談で、あの順番で資料を出したのは、どうしてですか?」
「お客様の質問に、すぐ答えなかったのは、なぜですか?」


 その動作や発言に何か深い意味があればあるほど、上司は質問がうれしくなるはずです。その理由と合わせて、貴重な経験則などを懇切に教えてくれるでしょう。たまたま無意識にやっていたことを質問した場合にも、「よく見ていたな」と評価してくれるはずです。

 即ち、若いうちは、商談相手への目立ったスタンドプレーよりも、上司への質問の方が大切なのです。先輩の仕事ぶりへの深い関心と鋭い観察力、上司に真似ぶ=学ぶ向上心と飽くなき情熱をが示すことにもなるのです。それこそが、先輩世代の心に響く絶好のアピールとなるはずです。

 振り返れば、証券会社時代に営業の神様と尊敬していた上司との同行営業が、私にとって何よりの勉強になりました。どんなセールス話法の本よりも、その場その場の先輩の言動を見ている方が、気づきも学びも多かったのです。

 このように、上司に質問を繰り返し、優れた点を少しずつ真似して身につけていけば、いずれそれは上司や同僚の目に留まるようになります。さらには、社外の商談相手にもアピールして認められるようになるでしょう。


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2009年02月07日(土)更新

【久米信行新刊】Q2-2:保守的な人に足を引っ張られる

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Q2-2:保守的な人に足を引っ張られる
A2-2:反対者まで味方にする社内営業術を知る


 「どんなアイディアも難クセをつけられる」「社内営業で8割のエネルギーを使う」


 せっかく勇気を出して新しい提案をしたのに、なんと直属の上司や、味方だと思っていた社内の別部門に足止めをされてしまった。そんな苦い経験をお持ちの方も多いでしょう。

 私も、大手証券会社で新規事業を担当していた時に、社内営業の大変さを思い知りました。会社のために良かれと思って提案した企画が、予想外の反対を受けて暗礁に乗り上げてしまうのです。

 そんな中で、私が尊敬する上司から教わったのは、衝撃的な経験則でした。

 「大企業の部長ほど保守的な人はいない。それは、役員目前で原点となるミスをしたくないから。だから、自分が部長を務める間は新しいことをしようとしない。それが大企業を停滞させている。」

 しかし、愚痴をこぼしていても何も始まりません。私なりに、大企業での意思決定プロセスを学び、最後には、多くの当事者の理解を得て企画を通しやすくする「社内営業術」を身につけました。


1.まずは真のオピニオンリーダーとキーマンを知って根回し


 いくら、大企業とは言え、実際に新しい戦略を立案するオピニオンリーダーと、それを承認してリスクを負うキーマンは限られています。それは部長ではなく、次長や室長であることも少なくありません。

 いちはやく、多くの人から意見を聞いて、カギを握る人物が誰かを知ることが大切です。真っ先に、そして密かに相談して支援を取り付けなければなりません。オピニオンリーダーやキーマンが、会議で前向きな発言をしてくれれば、保守的な人もなびきやすくなるからです。


2.根回しする上司の好みの書式を知ってから書く

 企画書を根回ししている時に、その「内容」ではなく「書式」に文句をつけられてショックを受けた事がありました。「字が小さい」「フォントが嫌い」「罫線を太い方がいい」「四画の角を丸くして」といったことは「本題とは無縁の細かいこと」に思えて、キレそうにもなったこともありました。

 しかし、裏返して考えれば「お好みの書式」にするだけで「企画が通りやすくなる」のですから「お安い御用」なのかもしれません。現に、ある中央官庁の友人に聞いたところ、関連する大臣や議員の先生別に、お好みの書式を調べて関係者で共有していると聞きました。

 ですから、企画を認めてもらうための重要関係者のリストを作るなら、そこに「お好みのフォントと大きさ、罫線の種類と形」などを聞き出して一緒に記録しておきましょう。そして、企画書の体裁を、お好み通りに整えてから根回しをしましょう。


3.完璧な企画書よりも、明白な欠点が見えやすい企画書で根回し

 会議で何か企画書のアラを見つけて指摘するのを、自分の仕事だと考えている上司も多いものです。本番の会議の席で、そうして「存在意義を発揮」されては、まとまる話もまとまらなくなります。

 かといって、事前に根回しをする際に、アドバイスできないような完璧な企画書を持っていっても可愛げがなくて歓迎されないものです。そこで「あえて重要な点が欠落している」ような「未完成の企画書」をお見せして、むしろ積極的に教えを乞えるようにしました。

 もちろん「自分が気がつかない点」を助言してくだされば本当にありがたいことです。また「気づいていたのに書かなかった点」を指摘されても、、まさに「わが意を得たり」と歓迎すべきことなのです。


4.根回しの時点でリスクと面倒がないことを強調する


 多くの場合、根回しで一番問題となるのは、そのプロジェクトが「全社に長期的な利益をもたらすか」ではありません。保守的な人であればあるほど、他部門が提案する企画によって「自部門にどんなリスクと手間が発生する」かの方が気になるのです。

 ですから、他部門の保守的な部長や課長に提案する時には「リスクを回避できる妙案」や「余計な仕事が増えない方策」を考える必要があります。

 その上で、根回しの時に先回りをして「リスクと手間について説明する」ことで「心配を払拭」しておけば、会議はよりスムーズに進むでしょう。

 
5.本番のプレゼンでは、各部門キーマンのアドバイスを積極紹介

 いよいよ本番の会議で、企画についてプレゼンをする時には、あくまでも謙虚にいきたいものです。もちろん、企画書は「根回しの時にいただいたアドバイス」の数々を盛り込んで、完璧に仕上げておきます。

 そして、プレゼンの中で「○○の問題につきましては、□□部長のアドバイスをいただき、このように工夫いたしました。」と謝意を示しながら紹介します。そうすれば「自分だけの企画」が「みんなの企画」に昇華されて共感が得られやすくなるはずです。

 そして、ここぞというところで真のオピニオンリーダーの賛同を得て、最後にキーマンが承認をほのめかしてくれれば、保守的な人も賛成に回ってくれることでしょう。


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2009年02月04日(水)更新

【久米信行新刊】Q2-1:「空気」を気にしすぎてしまう

10万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております!
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Q2-1:「空気」を気にしすぎてしまう
A2-1:3者の視点で空気を変える人が求められている


 「空気が読めないヤツ」


 今や、そう言われることを何より恐れている人が増えているように見えます。テレビのバラエティ番組などでお笑い芸人が「空気が読めない」と使う時、この言葉は「気が利かない」「面白い発言やリアクションができない」即ち「つまらなくて使えない人」と同義語だからです。

 しかし、同じ言葉でも、ビジネスの世界で使われる時には「意味がねじ曲げられている」ように思えます。
 
 「お得意様や上司が言う事には逆らうな」
 「せっかく多数決でまとまりそうな話をひっくりかえすな」
 「昔から決まっているルールに疑問を持つな」


 即ち、「長いものには巻かれろ」といった語意が感じられるのです。ともすれば、若い人財に「受け身で保身型の処世術」を強要するために悪用されているのではないでしょうか?
 もちろん、「TPO=時×場×目的をわきまえる」「そこに参加している人たちの心の動きを察する」という点で「空気を読む」ことは大切です。しかし、現状維持の方策では解決できない激動期には、あえて「空気を読んだ上」で「空気を変えること」が求められているのです。頭の固い上司には浮かばない斬新な発想こそ、トップが若い人財に望んでいるはずです。

 もしも、満場一致で決まりそうな会議、慣例や惰性で決まりそうな場面があったら、それはチャンスです。心と頭を柔らかくして、あえて3者の視点で「空気を変える」発言をしてみましょう。


1.お客様の視点で「空気を変える」


 ビジネスの世界で、王様はお客様です。しかし、気がつけばその基本を忘れて、作り手視点、売り手視点で「自社の都合の良い発想」をしてしまいがちです。

 そんな時、私は、この商品やサービスを「自分だったら買うだろうか?」「家族が喜ぶだろうか?」と発想します。一番、仲良しのお客様を思い浮かべてもいいでしょう。すると「これはおかしい」と思う場面に、きっと何度も出くわすはずです。

 今は、若い人たちがモノやコトを買わない=お金を使わない時代です。多くの企業が、若者向けのマーケティングに頭を悩ませています。だからこそ、「自分自身の心に聴いた」素直で率直な発言に、ハッとするリーダーが多いはずです。

 だからこそ自信を持って「自分がお客さまだったら」という生活者の視点で発言しましょう。


2.創業者の視点で「空気を変える」

 どんな会社も、創業者が立派で、起業の理念が社会に受け入れられたからこそ軌道に乗り、今も存続しているはずです。しかし、長い年月を経ると、創業者が志した理念は形骸化したり忘れ去られたりしていくものです。

 ですから、誰よりも創業者の歩みや発言をよく調べて、会社でも1、2を争うぐらいの「創業者通」になることをお勧めします。そして「自分が創業者だったらどう思うか?どんな手を打つか?」と、いつも発想するように鍛錬するのです。

 そうすると、時には「創業者ならこんな商品は作らない、こんなサービスは許さない」と思うような局面にぶつかるはずです。こうした状況を見過ごすことは簡単ですが、実は深刻なのです。長い目で見ると、長くご愛顧いただいたお客様が離れたり、社会を騒がす不祥事につながることも少なくありません。

 若輩ものが「空気を変える発言」をするには勇気が要ります。しかし、「もし創業者だったら....」と冒頭に付け加えて直言すれば、言葉の重みが違います。この言葉にドキッとしない、その意見に耳を傾けないリーダーはいないはずです。発言が「なるほど」と気づきを生むものなら、きっと、みなさんを見る目も変わるでしょう。


3.50年後100年後の子孫の視点で「空気を変える」

 企業の究極の目的は、規模の拡大や利潤の最大化ではありません。時代に合わせて変化し、進化を繰り返しながら、長期にわたって存続することです。しかし、長期的で社会的な行動をすべき上場企業ほど、株式市場に振り回されて、目先の利益や株価に心が奪われているように見えます。

 また、ただ企業が存続すればいいというわけでもありません。例えば、私が一番恐れているのは、今から50年後に私の孫やひ孫たちに「おじいちゃんの会社は続いたけれど、地球を汚したよね」「ひいおじいちゃんの会社は、地元に迷惑をかけたよね」と嘆かれることなのです。

 だからこそ、もし会議の場で、「今はいいけれど、将来に災いをもたらすような選択」それも「社会的に影響が大きい選択」を目にしたら会社の一大事です。すぐさま「50年後100年後に私たちの子孫が、どのように思うでしょうか?」と直言して欲しいのです。

 多くの人は、この厳しい経営環境で何を悠長なことを冷たい視線を浴びせるかもしれません。しかし、心ある経営者や上司なら、ハッとして耳を傾け、意見を認めてくれるはずです。

***

 この3つの視点は、いずれも日本で忘れられつつある「義」を重んじたものです。誰が何と言おうと批判を跳ね返し、自分の意志を貫くためには、いつの世も「義」が大切なのです。

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 ◎Q1-1:自分の好みを出すのが恥ずかしい
 ◎Q1-2:自分が思っているよりも周りからの評価が低い
 ◎Q1-3:失敗して笑われるのが嫌だ
 ◎Q1-4:言いたいことを伝えるのが苦手だ
 ◎Q1-5:「柄にもない」と言われそうでイヤだ
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 ◎Q2-2:保守的な人に足を引っ張られる
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 ◎Q2-5:「調子に乗っている」と思われたくない
 ◎Q2-6:評価軸がわからない
 ◎Q3-1:自分に興味を持ってくれる気がしない

久米 信行 網縁作務処
国産オリジナルTシャツ@久米繊維
グリーン電力×オーガニックコットン×アート@T-galaxy.com
ブログ起業論講師@明治大学商学部   

2009年02月03日(火)更新

【久米信行新刊】Q1-5:「柄にもない」と言われそうでイヤだ

10万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております!
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Q1-5:「柄にもない」と言われそうでイヤだ
A1-5:日頃のイメージを裏切るほど印象に強く残る


 「柄にもない」「君らしくもない」


 せっかくやろうとしていたのに、誰かにそう言われた瞬間「心のブレーキ」がかかって、あきらめてしまった経験はありませんか?

 しかし、「柄にもない」と呼ばれるようなことこそ、現状をブレークスルーする決定打になることもあります。だから、今すぐ「心のアクセル」を踏むべきことかもしれません。それが成功するせよ失敗するにせよ、本来の自分を周囲に理解してもらい、まわりの見る目を変える好機になる可能性も高いのです。
1)ジョハリの窓と「人柄の死角」を知ろう

 考えてみれば、「柄にもない」などと「もっともらしいアドバイス」を直言する資格がある人などいないはずです。同僚や友人はもちろんのこと、両親など目上の親族や、会社の上司など先輩であっても、軽々しく助言はできないのです。

 なぜなら、みなさんの「本当の人柄」や「自分らしさ」、さらには「将来の可能性」や「潜在的な能力」を正しく見極めて人は、親しい身内の中にも、ほとんどいないからです。「自分のことを自分以上に理解してくれている」ような「師匠」しか、本来言ってはいけないセリフでしょう。

 「ジョハリの窓」と呼ばれる「自分を理解するためのマトリクス」をご存知でしょうか? 

 横軸に「自分が知っている自分」と「自分も知らない自分」、縦軸「周りの人が知っている自分」と「周りの人が知らない自分」を取ると、「2×2=4領域のマトリクス」ができあがります。

 「柄にもない」というのは、「周りの人が知っている(と思っている)自分」の領域で、騒ぎ立てられることです。いくら騒がれても、実際には「自分が知っている自分×周りの人が知らない自分=自分だけが知っている隠された自分」の領域は、いわば「死角」になっています。自分以外には見えていないわけです。


2)大きな危機や転機で「自分も知らない自分」が発動する

 また、「柄にもない」と思われることに挑戦することは、みなさんにとって、いつも以上にリスクの大きな体験になるでしょう。そこでは「想像を超えた困難」や「危機的状況」に見舞われることもあるはずです。また、「予想外の出会い」に恵まれて「人生の転機」になることもあるでしょう。

 そんな時、ジョハリの窓で言うならば「自分も周りの人も知らない未知の自分」が目覚めることも少なくありません。

 私も「柄にもない」挑戦をした結果、現状を突破できたブレークスルー体験を数多く味わうことができました。

 ゲームもゲーマーの子供たちも嫌いだった「文系の元ボーイスカウト」が、ゲームデザイナーの仕事に夢中になりました。大学では「中国の現代社会主義経済」を学ぶゼミの代表を務めたのに、証券会社ではファイナンシャルプランナーを養成する仕事に燃えました。

 そしてローテクのTシャツメーカー経営者でありながら、「柄にもなく」経営情報学会に誘われて、インターネットに挑戦しました。その結果、いつしかIT関係の連載や講演も増えて、明治大学「ブログ起業論」の講師も務めています。

 こうして、若い頃には想像だにしなかった方向に人生が展開していきました。そして、自分でも気づかなかった能力を磨くことになって驚いているのです。


3)柄にもないと言った人ほど変化に驚き、認めてくれる
 
 もちろん、私以上に驚いたのは、昔から私をよく知っている人たちでしょう。今、私が図らずもライフワークとしていることの多くは、私の身内や旧友にとって「柄にもないこと」「私らしくないこと」だからです。

 コンサルティング会社の内定を蹴って創業間もないベンチャーに就職する時も、証券会社に転職して新規事業に挑戦する時も、さらには、家業である構造不況業種の国産Tシャツメーカーを後継する時も、多くの人が忠告をしてくれました。私の「柄にもない」選択を心配してくれての心温まる「ありがたいアドバイス」でした。

 しかし、その時制止してくれた方々も、今では「私の挑戦」を認めて、大いに祝福してくださっています。むしろ「予想外の展開」だったからこそ、さらに喜んでくれているようにも思えます。

 例えば、証券会社への転職を大反対した父も、不幸にも「バブル崩壊を当事者として味わった実体験」が、「経営者としての最大の財産」のひとつと認めてくれているのです。

***

 ですから、「隠された自分」や「まだ見ぬ自分」が直観して、「心からやりたいと願っている」ことなら、誰が何と言おうと迷う必要はありません。その挑戦が、自分の能力を伸ばし、新たな縁を広げてくれる可能性が高いからです。その成否にかかわらず、周りが「君らしい」と思っているような「予定調和の展開」よりも、大いに注目されて後々認められる結果につながるでしょう。

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2009年01月28日(水)更新

【久米信行新刊】Q1-4:言いたいことを伝えるのが苦手だ

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Q1-4:言いたいことを伝えるのが苦手だ
A1-4:一言にまとめよう!よく聴いて、ブログで補おう!


 「あなたの言いたい事を一言で言うと?」
 「なぜ?」


 大学で師事したゼミの恩師 平野絢子先生は、いつも、この2つの質問だけで学生たちを問い詰めていました。暗記するだけの試験勉強や、参考文献丸写しのレポートに慣れて、自分の頭で考えることをしなかった私は、答えられずに絶句するのが常でした。

 この2つの質問に簡潔な一言で答えられれば、そして答えが借り物ではなく自分自身で考えた内容であれば、たとえ幼い回答でも先生は褒めてくださいました。そんな2年間の脳トレーニングを経て、私は自分の言いたい事を伝えるための「シンプルな成功法則」に気づきました。
1)まず最初に、言いたい事を一言で言い切る

 多くの人は、言いたい事を伝えるためには、背景や前提などを長々と説明する必要があると考えています。しかし、その涙ぐましい努力はむしろ「逆効果」となる場合も多いのです。悲しいかな「言いたい事をわかりづらく」しているかもしれません。

 ですから、口下手な人でも心配する必要はありません。多くの言葉を使って長い文章を連ねても、ストーリーの組み立てや文章表現に工夫しても、言いたい事が伝わるとは限らないからです。それよりも、いかに「簡潔な一文」で結論だけを言うかに頭を使えば良いのです。

 慣れないうちは「私は賛成(反対)です」とか「私は好き(嫌い)です」などと単刀直入に意志を伝えるだけでも構いません。実のところ、自分の立場を「冒頭で堂々と言う人」は意外に少ないものです。だからこそ相手の印象にしっかり残ります。


2)理由は結論の後で、なるべく簡潔に伝える

 一言で結論を言ったら、あとはその理由を一文で添えるだけで構いません。その理由も簡潔な文章であればあるほど良いでしょう。

 例えば、「私は賛成です。当社の○○に関する強みが生かせるからです。」と言うだけで、結論と理由を合わせても「ごく短い時間」で伝えることができます。

 自信がない人や要領を得ない人ほど、長い文章を継ぎ足したくなるものです。しかし、最短の文章で伝える人こそ「頭がいい」と考えるリーダーが多いと心得ましょう。

 また、理由が複数ある場合には、例えば「その理由は3つあります」と冒頭で伝えましょう。その上で、「まず第1の理由は...」と箇条書きのように一文ずつ挙げるのです。そうすれば、相手は「耳で聞くだけ」でも「目で見るか」のように理解できるはずです。そして「頭がいい」という印象を短時間で持っていただけるようになるでしょう。


3)聴き上手になって、ここぞという時に質問と反復

 口下手な人ほど、話す事に意識を集中し過ぎて、聴く事がおろそかになりがちです。

 しかしながら、自分の言いたい事を伝えたければ、まずは相手の話をよく聴くことが大切なのです。多くの人は、自分の話を真剣に聴いてくれる相手にしか、心を開いてくれないからです。

 ですから、短く自分の意志を伝えたら、その後は、自分の発言をいったん忘れて、その感想に真剣に耳を傾けましょう。そうすれば、話し相手が、自分に関心があるか、どんな印象を抱いたかもわかるはずです。

 相手の話に耳を傾ければ、自然に興味がわいてきて質問したいことも浮かんでくるはずです。その質問を短く投げかければ、さらに真摯なメッセージが返ってきて、コミュニケーションが深まっていきます。もちろん、相手が自分に一番伝えたいメッセージについては、深くうなづいて反復いたしましょう。

 そうすれば深く共感してくれたお返しとして、みなさんが伝えたいメッセージにも、きっと耳を傾けてくださるはずです。


4)うまく言えなかったこと、言い足りなかったことはネットで補足

 とはいえ、面談時間には限りがあります。

 聴き上手になれば、相手の話がますます盛り上がりますので、逆に言い足りなかったことも増えるはずです。あえてその場で口を挟んで、自分の意見や経験を長々と展開すれば、逆に相手の気分を害することにもなるでしょう。

 そんな時は、お礼メールかお礼状をお出しする中で、しっかり補えば良いのです。口下手でアガリ症の人にも、この方法はおすすめです。

「先日は、楽しくて有意義なお話をありがとうございました。実は私も○○について深い関心があり、ブログでもご紹介しております。よろしければご笑覧ください。」

 こうして「写真入りのブログ」で自分のことを知っていただく方が、面と向かって話し言葉だけで伝えるよりも、はるかに楽で効果的なのです。

***

 よく聴いてみれば、テレビやラジオに登場する有識者も含めて、熱弁を振るっているのに「賛成」か「反対」かが不明瞭な人も多いことに気づくはずです。本人は雄弁だと自信があっても、実は、わがままで優柔不断な「時間どろぼう」なのかもしれません。

 ですから「言いたいことを伝えるのが苦手」だと思っている人は幸せです。ネットも活用した「省言葉×省気遣い×省エネルギーのコミュニケーション」を身につければ、労せずして相手と仲良くなって自分らしさも伝えられるからです。

 今こそ、なるべく短い言葉で伝えて、良く話を聴く事で、話し相手の満足度を最大限に高める「苦労ミニマム×効果マキシマムのコミュニケーション達人」を目指しましょう。 


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2009年01月22日(木)更新

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Q1-3:失敗して笑われるのが嫌だ
A1-3:笑われる人ほど伸びる3つの秘密を知ろう


 「こんなこともできないのか?」「夢のような話ばかりして!」


 どんな理由であれ、勇気を出して行動したのに、その結果を人に笑われれば「へこまない人はいない」でしょう。

 しかし、私の半生を振り返れば「笑われたことこそが明日の糧になっていた」と実感するのです。それどころか「笑われるようなことだからこそ挑戦する価値がある」「笑われる人ほど大きく伸びる」と言っても過言ではないでしょう。

 人にさんざん笑われた後、5年後10年後に「笑った人を見返した経験がある人」なら、きっと賛同してくださるはずです。ここで「笑われるほどに強くなる3つの秘密」について考えてみます。
1)笑われることがバネになって勉強をする

 勉強不足や経験不足で初歩的な失敗をした時には、先輩になじられたり、同僚に笑われたりすることが多いでしょう。この時の悔しさや口惜しさは味わった人でなければわかりません。

 私も、大学教授やITスペシャリストが集う経営情報学会に誘われた当初は、飛び交うIT用語や経営用語の意味が、ほとんどわからない状態でした。基礎知識も経験もない若輩の中小企業経営者見習いにとっては、まさに場違いな「プチ修羅場」でした。今でも赤面するような恥ずかしい思いもたくさんしたのです。

 しかし、笑われた時に湧き起こる「こんな失敗は二度と繰り返さない」「いつか笑った人に一泡吹かせたい」という原始的な感情こそが「学びの原動力」になったのです。試験で点を取るための一夜漬けではなく、いつか学会のメンバーと対等に議論を交わせるような勉強をしたい。そんな実践的な底力を身に付けるべく、すごいと思う先生の真似をしたり、読書やネット検索を通じて勉強をしました。

 そんな積み重ねの結果、いつしかIT関連のコラムや本を書くまでになれました。そして、地元の商工会議所のIT分科会長や大学の講師を勤める縁にも恵まれたのです。

2)新しい可能性を秘めたことほど笑われる

 いつの時代でも、次代を拓く新しいものごとは、半ば変人と呼ばれるようなイノベーターによって始められることが多いものです。ビートルズの名曲「Fool on the hill」は、地動説を唱えたがために嘲笑されたコペルニクスを主人公にしているそうですが、昔も今も改革者は笑われて当たり前なのです。

 例えば、1996年に私がオンラインショッピングの新規事業を始めた時には「遅い回線、少ない顧客、画像なし」という三重苦もあって、時期尚早と笑われたものです。しかし、もしも、このタイミングで始めていなければ、日経インターネットアワード等を受賞したり、マスメディアで注目してもらえることもなかったでしょう。

 同じように、安価な中国製Tシャツがあふれてデフレが進行している最中に、オーガニックコットンなど地球環境に配慮した高価格商品に取り組んだ時も大いに嘲笑されました。ところが、その努力が実って、今では環境問題に取り組む企業やNPO法人から評価をいただいています。

3)それでも笑わない生涯の師匠や仲間が見つかる

 将来に意味を持つ新しいものは、一見すると怪しくいかがわしく見えて笑われがちです。しかし、未来を見通すリーダー層は、イノベーターの奇行の中に「新たなビジネスチャンス」を見いだすものです。

 ですから、みんなが笑う中でも、真剣に話を聴いてくれる人、叱咤激励してくれる人がいたら、その人こそ生涯の師や仲間と呼べる最有力候補かもしれません。考え方によっては、大多数の笑う人たちがいるおかげで、真のパートナーが見つかりやすいとも言えます。

 例えば「失われた10年」における私たちの挑戦を、多くの人たちが笑いました。しかし、環境品質と文化品質を追究した「日本でこそ作り得るTシャツ」を「インターネットで広める」という挑戦を笑わない人もいました。そして、ずっと応援してくれる縁者にも恵まれました。

 こうしたありがたいご縁も、「笑われることを厭わない挑戦」なくしては、「大多数の笑う人の存在」なくしては、育まれなかったのです。


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